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春になったらここに人が来る…
どんな人なのか聞いたけど、「変人」の一言…
どうしてそんな話になったのかというと、昨日の昼の話し合いの最後の出来事だった。
「じゃあ誰に見てもらうんですか」
レイさんは研究者じゃないと話していた。ここに誰かくるのか、もしくはここを出て会いに行くのか。
「お前をここから出すつもりはないからな」
こっから出ていくという選択肢はないんですねーはははははは…
「春になったら鑑定できる奴と連絡を取る」
「あ、知り合いにいるんですね」
「あぁ、そいつは俺の眼を調べたやつだからな。腕は信用していいぞ」
それ以外は信用しない方がいいんですかね…
(変人なのかー)
早朝の庭に雪が深々と降る。夜から降っていたんだろう、随分と積もった雪を白くなった窓から見つつポチを撫でる。変な人…どんな変な具合なのだろうか。
私の人生はとても普通だった。残業をするときもあれば、取引がうまくいったこともある。時々先輩がコーヒーを奢ってくれることもあった。仕事を押し付けてくる先輩もいた。でもそれって、辛いこともあれば、嬉しいこともある。どこに行ってもいい人もいれば悪い人もいる。
そんな人生の中で変人といわれて思いつくのは、人のうわさで聞く露出狂や二次元のキャラクターくらいだ。
レイさんの知り合いっぽいし、「変人」ということについて詳しく聞くのは失礼なことだろう。でも、異世界の人だよ?それに加えて変人って…なんか日本にいたときの変人よりやばい人が来そうで緊張する…
「ポチ―どうしよーやっぱり聞いといたほうがいいかなー。凄い人来たら私、絶対顔に出る。めっちゃ失礼な態度とれるよ。だったら前もって、どんな人なのか聞いといたほうがいいと思って聞いたのにさー」
それなのに、
「変人だ、あまり関わるな…だって~。いや、無理っしょ!私のことで来てくれるのに関わるなって…相手に失礼でしょ~」
レイさんは私をレイさん以外の人間と関わらせる気ないですよね?
結露して白くなっていた窓になんとなく指をしならせる。できた筋には外の景色が狭く見える。
私はここしか知らない。この家の中で暮らしていくことに不満はない。生活のすべてをレイさんから教わる。だって、他の人間は私がだめだから。レイさんだけが安全なんだ。
それでいいのかと思う。
私が中学生とか、もっと子供だったら大人に甘えて、暮らしていくことは十分に考えられる。でも私は子供じゃない。社会人になって4年は生きてきた。この世界でもとっくに成人している年齢だと思う。それなのに、私は何も知らない。
何も知らずに半年以上のうのうと生きてきたんだ。
「はぁ…なんか重い…」
気分は底を這うようにずるずるとした感じだ。
私から知ろうとしたことはない。そしてレイさんから教えようとされたこともない。
何がよくて、何がだめなんだろう。全然わかんない。




