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幸せになりたい。  作者:
2 精霊と冬
20/48

19

 ポチとの添い寝……イチャイチャをやめて、私はいつもの食堂にいる。


 目の前にはポチとのイチャイチャを中断させて私を起こしに来たレイさん。

 そして私の膝の上には少しむすくれているポチ。

 

 こんな状況になっているのは必然的で、昨日の出来事の話し合いだ。

 あの森でレイさんに見つけてもらった後、私はぐっすり眠ってしまった。極度のストレスと寒さが原因だって。

 まぁ今思えばかなり参っていたかも。

 そして、ここに来た時のように、やはりレイさんの背中におんぶされて帰ってきたらしい。

 私、迷惑かけすぎじゃない?あぁ、今からでもベッドに戻りたい…

 ポチはお行儀よく、レイさんの後をついてきたらしい。

 ポチいい子じゃん…

 もう私の気分は母親…

 我が子がいい子で嬉しい…

 思わずなでなでしてると、ポチも嬉しそうに撫でている手に頭を擦りつけてくる。


(はーかわえええぇ…)


 ポチって安直な名前じゃなくて、もっと考えてあげればよかった…

 レイさんに目を向けると、何してんだこいつらみたいな不可思議なものを見る目でこちらを見ている。

 ごめんなさい、少し冷静になりました。

 素直に撫でていた手を止める。

 ポチはそれが不満なのかポチを抱え直した私の手をふにふにしてくるが、ここは我慢してほしい…


 私が話を聞く姿勢になり、レイさんは一度ため息をつき、話を進める。


「で、お前が森にいた件だが、自分で行ったわけじゃないよな」


 確認するように、聞いてくる。

 そりゃ自分で行くわけないだろ。

 私の顔に返事が出ていたのか、そうだよなと低い声でつぶやく。


 じゃあどうしで私は森にいたのでしょうか?

①レイさんのどっきり(どっきりどころではなく、死を覚悟した)

②誘拐(私を誘拐してどうすんだ)

③夢遊病

 もうこの三つしか思いつかない…そして①と②はありえない…

 レイさんはそんなどっきりとかするとしても、死ぬような危険性のあることはしないと思う。あの時は捨てられたとか、すごく嫌なこと考えてたけど、私に不満があればはっきりと言ってくるタイプだからな、捨てられたわけでもないはず…

 誘拐なんてする必要性というか、私を誘拐してどうすんだよ、てか、誘拐したとしたら森に置き去りにすんな。

 つまり、最適解は私が、夢遊病者ということ…いや、そんなはずではないはずだけど…無意識に徘徊してしまったのでは…


「お前何考えてんだ?」

「…この事件の真相は、私が夢遊病であるとう可能性がびれ…無きにしも非ず…」

「どうした」

「どうもしません」

「…お前がその、むゆうびょうとかではないと思うから、落ち着け」


 ちょっとたどたどしく夢遊病と言うレイさんかわいい…

 それからレイさんは少し考えるように間を置き、口を開く。


「…お前の周囲にいた精霊だけが酩酊してた」

「はぁ…」

「推測だが、お前に影響されたんじゃないのか」

「はぁ……は?」


 どういうこと?何も理解できないから一つ一つ確かめたい。


「え、それって…」

「つまりは酔ったということだな」

「精霊って酔うんですか」

「実態を持たないものだ、普通は酔わない」


 じゃあなぜ?

 つまり、私が酔って、近くにいた精霊がつられて酔って、暴走しちゃって、私は森に放り出された…されど、過失もとい不本意に。ん…なんか拍子抜けというか、それよりレイさん精霊見えるんですか?めっちゃファンタジーなんですけど。


「…仮にそうだとしても、私すごく酔ったつもりじゃなかったんですけどね」

「お前に悪戯したい気持ちがあったのかもしれないな」


 お?故意なのか?交番どこですか?

 まぁ精霊は気まぐれだからしょうがないんだよね、泣き寝入りします。

 それよりも気になるのが、


「あの、なんで影響されちゃったんですかね?」


 推測って言ってたけど、確信してそうな雰囲気だった。何か知ってるのかな?


「…ミサコ、お前は魔力を持っている」


 そうっすね…………え、ちょ、今、名前…

 名前言いましたね?呼びましたね?今まで呼んだことありましたか?いやない。覚えていたんですね、はい。

 えーファーストネームコール!この渋めのダンディな声が私の名を呼ぶ…はー耳が最高、至極の癒し。


「おい、聞いてんのか?」

「あ」


 聞いてなかったです。あっすみません、頭ぐりぐりしないでください、すっごく痛いです!ちょ、その筋肉でされちゃうと潰れます!飾りじゃないでしょ?実用性のある筋肉って、ものすごく、生命の危機を感じっあ、あ、あ゛ーーーー!!!


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