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幸せになりたい。  作者:
2 精霊と冬
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 レイさん…元気にしているでしょうか?

 私はなんだかよくわかんないですけどペロペロされつつそれなりに頑張ってます。


 いや、この状況どうしよう。

 このもふもふを抱きしめてからそれなりに時間が経ったと思うのだけれども、如何せんどうすればいいのかもうよくわかりません。

 すっかり泣きなんで、気持ちに余裕のできた私ですが未だにペロペロされている。手持ち無沙汰だから少しもふもふすると触りどころが悪かったのか身体を少しよじり、体をより密着させてくる。


 ああ~癒される~。

 動物に懐かれることなんて初めて…こんな状況でなければ、わしゃわしゃしてるのにな…


 癒されつつもこれからどうしようか考える。

 夜空を見ても頼りない月光と、遠くから照らす星の光のみ。まだ夜明ける気配はない。


 こういときどうするばいいのかレイさんに聞いとけばよかった。

 後悔先に立たず…


 今は頼りにできない。といよりもレイさんのところにはいかない方がいいのでは?

 凄く嫌な考えで、だけど可能性があることとして、レイさんに捨てられたという可能性がある。

 理由はちょっと思い浮かぶ。

 とにかく黒がいけない。

 一般的に受け入れがたい、いや、マジで無理みたいな話をされた。

 魔力を持っているということよりも魔族に近い存在は嫌悪されるということを教わった。


 ではどうすればいいのか…

 街に行けたとしても、捕まって、どうされるのかわからない。


 って、私ここにきてレイさん以外の人間と関わったことない…?


 今更ながらに気づく。私、レイさん以外の人と話したことない!

 引きこもりすぎる…いや、レイさんの親切心?で関わることがなかったんだよね?そこ信じていいですかね?


 謎がさらなる謎を呼び始めようとする…これはいけない、もふもふして気を静めなければ…



















 …鼻水も収まったから、少しばかり鼻が利く…つまりは獣臭さが分かってしまうことだ。でもこの癒しのもふもふからそんな臭いを感じたくないという気持ちから、鼻を使わないようにしている。こんないいもふもふからいやな臭いはしません。フローラルとまではいかずとも無臭であってほしい。


 って気を静めすぎた、匂いのことは置いといて、この状況から脱しなくてはいけない…


 明けるのを待つにしてもここにずっといるよりも移動したほうがいのかな?どうせ初めに気がつた場所から離れているし。


 …一緒についてきてくれるかな?


「お前も一緒にくる?…て、聞いてもわかんないか」


 聞いてもわからない…無言は肯定…

 …

 よし、一緒に行くぞ!何があっても離さないからな!


 気持ちを一新し、立ち上がると想定外の動きだったのか、腕の中でビクッと動く。けれども逃げるそぶりはなくされるがままだ。ふふふ、本当に懐いてくれてる…愛着が湧いてしまう。てか湧いた、湧きまくり。


「私の相棒だね、名前つけよっか」


 何がいいだろう…てかこれは何の動物なんだろう。


「犬?いや…ずんぐりむっくりしてんな」


 そういうとショックを受けたように固まる。

 はーかわいいー。ポチにしよ。お前今日からポチな。


「ずんぐりむっくりしてるけど、かわいいよ~」


 頬ずりしちゃうわ~


 すりすりすると、応じるようにすりすりしてくる。


 はぎゃーーーっ!!かわいいよぉーっ


 顔が溶けてしまう…かわいさに満点、お金払える…

 幸せな気持ちになって、心がほかほかしてくる。うっとりとしていると、周囲が明るくなった気がした。

 …ん?明るい?


「?!」


 明るい…だと…?!

 魔法ですか?え?この状況なに?ポチ、お前なのか?


 呆然とする私をよそに、その光は辺りをふわふわ浮遊し、白く照らしてくれる。


 これは、……もう今日はよくわかんないことだらけだわ。


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