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…寒い
…チクチクする
…痛い
身体に不快感が募る
それらを振り払い目を開く
森?
いつもの家の周りとは違う。暗くてあまり見えないけど、森の中にいるんだとわかる。土の冷たさ、もう冬になるから何も生えていない、枯れ枝を踏む感触。
心臓がどくどくする。
既視感に似た感じ
こんなこと前にもあったよね?
自分の身体に触れると何も変わっていない。
家にいたままの恰好をしている。ブランケットもある。どこも傷ついていない。
辺りをもう一度見回してみるが、方向なんてわからないほど暗く静かで寒い。
寒くてブランケットを肩にかける。
「…」
なんでかわかんないけど私、森で迷子になってます…
今朝から嫌なことばかりだったけど、これは急展開過ぎる。
もはや笑いたくなるほどである。
でもこんな静かなところで笑うなんてホラーだわ。自分が怖くなるだけなのでここは現状打破のためにどうにかしていくしかない。
そう考えると、家はどこにあるのだろう。川の近くだから川を探すことしか思い浮かばない。
方角なんて以ての外、夜空を見ても北極星がどれかなんてわからん。てか北極星あるのか…
「探してみるしかないよね…」
よこいしょと腰を上げ、歩きやすそうな方へ向かう。
歩いているとぱきぱきと枝を踏む音が暗闇に響いて、歩みを進めるごとに気分が暗くなってくる。
どうしてこんなことになったんだろう。前ぶり何もなかったよね?しいて言うならお酒を飲んだことぐらいのはず…
レイさんはどうしてるんだろう。急にいなくなったから心配してるかな?ブランケット持ったままだし、返さないといけないよね。
どうしてだろうと考えていると不意に一つの考えが浮かぶ。
(もしかして私捨てられたの?)
そう考えると足が止まった。
何かしちゃったのかな?足手まといだと思われたの?もしかして邪魔だったの?
身体から、温かいものが私の目から出ていく。
頬を伝っていき、外気に触れて冷たくなっていく。
初めは少しだったそれはすぐに止めどなく出てくる。
夜は騒いじゃいけない。静かに、気配を消すように。
教えてもらったけど、使うことなんてないと思っていた。教えてもらったこと活かすべきだけど、できないなー
こんなんだから、捨てられたのかな?
ぐずぐずと泣いてるとなにかが頬を押している。
目を開けるのも億劫で、されるがままだ。
湿っていて、ちょっと固い。でも温かがある…
…ちょっとこれなに?
悲しかったはずなのに思考は頬に当たるこれの正体が気になってしまう。
こんなの涙も止まるわ。
泣いてたから鼻水も出てて鼻が利かない…もはや目を開けてこれの正体を確かめる他手段はない…でも見ちゃう?これ怖くない?自分だけかと思ってたらなんかいたわけなんだよね。
魔物ではないはず…なんだこれ…動物?いや、未だに餌付けをしているけど触れたことなんて一度もないわけではないけど、滅多にない。まして動物の方から触りに来てくれるなんて…
そっと目をけてみる。暗いけれどもなんとなく丸っこい生き物が目と鼻の距離にいるのが分かる。
…これはなんだ?