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幸せになりたい。  作者:
2 精霊と冬
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12

「…」


 今日は朝からなんだか嫌な感じだったのだ。

 そう、寒くて毛布でぬくぬくしていたら無理やり毛布を追い剥ぎされたり、朝ご飯に青い野菜の入ったスープが出たり、庭に行っても動物に出会えなかったり、野菜スープを苦いから嫌そうに食べたせいでレイさんがむすっとした表情になったり…いや、最後のはよかった。最近おっさん萌えに入信したからね!かわいかったです!

 …いや、話がそれたな…そう、今日はなんだか嫌な感じがしていたのだ。だからこの状況もそのせい。



 私、森で迷子になってます…



 なぜこんなことになったのか…きっかけは、多分きっかけは、夕食の出来事だった…














 本格的な冬になり、雪の所為で町まで行くのが大変になる前にレイさんは沢山の買い物をしたらしい。その買い物の中にお酒があったのだ。なんでもこの国?の冬はホットワインを飲む風習があるらしい。そんな話をレイさんから聞いたときはおしゃれな風習だなーと思った。ワインなんて飲まないし、まずお酒を飲む機会なんて早々ない生活だった。別に貧困だったとかではなく単に興味がなく、食べることの方が好きだったからだ。お酒の席でもおつまみばかり食べてた。そんな話をしつつ空き部屋に冬支度の荷物を運ぶのを手伝ったのが一か月前。

 そして今日の夕食を二人で作っていたとき、飲まないかとレイさんに誘われたのだ。


「え、いいんですか?」

「なんでだ?お前そんな成りだが一応は成人しているんだろ?」

「そんな成りってどういうことですか。まあいいです、大人なので聞かなかったことにしてあげましょう!」

「…中身子どもだな。本当に二十過ぎているのか?」

「ははは!勿論ですよ!お酒も飲める年齢は過ぎています!」

「…」

「ちょとなんですかその目は!訝し気にこちらを見てきて…」

「無理して難しい言葉なんて使わなくていいぞ」

「やめて!かわいそうなのもを見るような目で見ないでッ」


 そう、ホットワインを飲まないかと誘われたのだ!

 私は居候の身であり、我儘とかしない方がいいと思って、街に出かけるたびに「欲しいものはないか」と聞いててくるレイさんに何も強請らずにきた。まぁ、欲しいのもなんてないので聞かれても「ないです」で終わっていた。

 お酒は嗜好品、つまりは贅沢なもの!

 居候の私は飲んでもいいのかと思ったのだ。

 悩んでいる私に何を思たのか、レイさんは話かけてくれた。


「今日から明日に掛けて雪が降るだろう。寒くなるんだ、身体を温めるのに飲まないといけないだろ?」

「え、もっと寒くなるんですか?」

「ああ、そうだ。だから冬の初めの雪が降る日は飲むし、寒けりゃ飲む」

「へー贅沢な生活ですね」

「そうか?」


 はー首傾げてるー。頬に傷のあるおっさんが首を傾げてるーかわいいー。

 にやけている私を見て、レイさんは一瞬で顔をしかめる。


「兎に角、飲むのか?飲まないのか?」


 折角誘ってくれたのだ、断るのも悪いような気がする…


「んー…飲んでもいいのなら…」


 そう、このことがきっかけで…

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