表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流転する想い  作者: ice
第1章
5/32

「ただいま」。

ちょっとずつ、ちょっとずつ進む話。

森から抜け、乾いた荒野を小走りで進む。

道でもあれば良いけれど、中々それも難しいみたいで。

……そもそもこんな僻地に道を作ってくれる程、領主様も優しい訳がない。

それどころか、ジェイク男爵家始まって以来の駄目な人らしい。

時々やってくる、行商人の人が呟いていたのをたまたま聞いてしまっただけだけど。

ただ、それは本当なんだろう。

……そうやって呟く言葉の大半は、本当のことを占めていると知ってしまっていたから。


そんな事を思い浮かべながら。

魔獣にも運良く出会す事がなくて安心(とはいえ、警戒はしたままだけど)しながら、只々歩く。



ーーーー魔獣。

何故産まれるのか、今では全く不明とされる害を為す存在。

魔物とも呼ばれるソレは、その理由も分からないまま僕等を襲う。

喰らう為なのか。

それとも……唯、弄ぶ為なのか。

それさえすらも未だ分かっていない怪物。


種類によっては抵抗出来ない事もないのが救いであり。

少なくとも僕は、最下級……獣程度には何とか抵抗出来る程度は自己流で身につけている。

まともな武器も無いから、主に体術と昔拾った錆び付いたナイフ。

後は木の棒で叩くくらいだけど。

それでも、「抗える」手段だけは必死に身に付けた。

万が一、襲われてしまえば逃げるしかできないとしても。

戦う覚悟なんて、全く出来ていないとしても。

――――それでも。



ざくり、ざくり。

小石を蹴飛ばし。 まばらな枯れた草の上を駆け抜ける。

段々と見えてくる、”故郷”。

見るからに痩せ細り、このまま朽ちていくだけのような既に終わりが見えている村。


そんな村の、本来の村の入口でなく。

裏口のような、柵の隙間に出来た一人分の隙間を抜けて中に滑り込む。

顔を見せるだけで、嫌な顔をされるから。

姿を見せるだけで、侮蔑されるから。

いるだけで――――。



……きょろきょろと、誰もいないことを確認しながら村の外れ、崩れ落ちそうな教会へと脚を向けた。

今は、此処が住処。

もう、母さんと過ごしたあの家は無い。

……潰されてしまったから。

……消えてしまったから。

……思い出と共に。


「……ただいま。」


きぃ、と小さな異音を立てる戸を開けて小声で囁く。


「……おかえり、なさい。」


……だから、今僕が持つ”好意”の感情は。

ただ、彼女と共にある。 それだけ、なんだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ