太陽色の君に恋をする
太陽みたいな人だと思った。
笑顔が存在が。
あとは、髪の色…かな。
太陽みたいな金髪が透けてキラキラ光る。
触れてみたいと何度も思った。
「ねぇ、ちょっと屈んで」
ちょいちょいと彼を呼び寄せ屈めと催促をする。
頭に疑問符を浮かべながらも彼はその場にしゃがみこんだ。
サラサラの金髪は染めてある筈なのに傷んでいない。
どうやったらこんな髪になるんだろう。
彼の髪を撫でてみる。
うん、柔らかい。
そしてふと思い出す。
彼と出会った日のこと。
今日みたいに太陽がギラギラ輝く夏の日で、公園だった。
「夏休み前の学生がこんなところでサボりかな?」
クスッと笑いながら話しかけてきたのがこの男。
初対面の癖に馴れ馴れしいが第一印象。
あとはやっぱりこの金髪が記憶に焼き付いていた。
それが出会いで、私は彼が気に食わなくて。
初対面の癖に馴れ馴れしい奴は嫌いだ。
でも夏休み中も公園に行けば会ってしまって。
何度この人をホームレスなのではないかと疑ったことか。
だがそんなこんなでズルズルと続くなんとも言えない関係。
友人でも恋人でもない。
ただの顔見知りの関係でこうして公園で会い話しをする。
と言うか私は彼の名前すら知らない。
雰囲気的にというか話し方などからして年上と判断はしているが、それ以外のことは何も知らない。
聞くつもりもないのだが。
故に私が彼を呼ぶ時は「お兄さん」で彼が私を呼ぶ時は「学生ちゃん」だ。
その学生ちゃんが馬鹿にされてるみたいで、殴ろうかと思ったことも度々あった。
彼の髪を撫でながらここ数日を思い返してみれば、学生ちゃんの夏休み期間をほぼ公園で過ごしていることになる。
「学生ちゃん?俺の髪いじって楽し?」
クスクス笑いながらこちらを見上げるお兄さん。
髪を遊ぶ手を止めぐしゃりと髪の毛を乱してやる。
「ちょ、ひどいひどい」
ケラケラと楽しそうに笑いながら、お兄さんは立ち上がり伸びをする。
相変わらず太陽に当てられて透けてキラキラしてる髪だ。
綺麗だなぁと思う。
「ん?」
こちらを振り向いたお兄さんがニコッと笑った。
逆光になっていてやっぱり太陽みたいな人だと思う。
そして初めてあった時からその瞬間に心奪われ始めていた。
私は今日も太陽色の君に恋をする。