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2014年/短編まとめ

太陽色の君に恋をする

作者: 文崎 美生

太陽みたいな人だと思った。


笑顔が存在が。


あとは、髪の色…かな。


太陽みたいな金髪が透けてキラキラ光る。


触れてみたいと何度も思った。


「ねぇ、ちょっと屈んで」


ちょいちょいと彼を呼び寄せ屈めと催促をする。


頭に疑問符を浮かべながらも彼はその場にしゃがみこんだ。


サラサラの金髪は染めてある筈なのに傷んでいない。


どうやったらこんな髪になるんだろう。


彼の髪を撫でてみる。


うん、柔らかい。


そしてふと思い出す。


彼と出会った日のこと。


今日みたいに太陽がギラギラ輝く夏の日で、公園だった。


「夏休み前の学生がこんなところでサボりかな?」


クスッと笑いながら話しかけてきたのがこの男。


初対面の癖に馴れ馴れしいが第一印象。


あとはやっぱりこの金髪が記憶に焼き付いていた。


それが出会いで、私は彼が気に食わなくて。


初対面の癖に馴れ馴れしい奴は嫌いだ。


でも夏休み中も公園に行けば会ってしまって。


何度この人をホームレスなのではないかと疑ったことか。


だがそんなこんなでズルズルと続くなんとも言えない関係。


友人でも恋人でもない。


ただの顔見知りの関係でこうして公園で会い話しをする。


と言うか私は彼の名前すら知らない。


雰囲気的にというか話し方などからして年上と判断はしているが、それ以外のことは何も知らない。


聞くつもりもないのだが。


故に私が彼を呼ぶ時は「お兄さん」で彼が私を呼ぶ時は「学生ちゃん」だ。


その学生ちゃんが馬鹿にされてるみたいで、殴ろうかと思ったことも度々あった。


彼の髪を撫でながらここ数日を思い返してみれば、学生ちゃんの夏休み期間をほぼ公園で過ごしていることになる。


「学生ちゃん?俺の髪いじって楽し?」


クスクス笑いながらこちらを見上げるお兄さん。


髪を遊ぶ手を止めぐしゃりと髪の毛を乱してやる。


「ちょ、ひどいひどい」


ケラケラと楽しそうに笑いながら、お兄さんは立ち上がり伸びをする。


相変わらず太陽に当てられて透けてキラキラしてる髪だ。


綺麗だなぁと思う。


「ん?」


こちらを振り向いたお兄さんがニコッと笑った。


逆光になっていてやっぱり太陽みたいな人だと思う。


そして初めてあった時からその瞬間に心奪われ始めていた。


私は今日も太陽色の君に恋をする。

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