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俺とあいつと星と虹

作者: amanojyaku

日曜日。学校もバイトもデートの約束もない日曜日。

俺はベッドに寝転びながら、床に落ちていた雑誌を無造作にめくる。

時計はとっくに12時を過ぎている。

ブーブーブー

メールがきた。

あいつからだ。

しかも添付画像あり、だと。

なんだ、なんだ。

俺は内心ドキドキしながらメールを開けてみる。


本文には何も書かれていない。

そこに出てきたものは、見事な虹だった。

・・・うわぁきれいじゃん。

大きくて、くっきりした虹だった。


あいつはまだ覚えてたんだな。

俺が毎日空の写真を撮ってたこと。

あいつと離れてから、俺は写真を撮るのをやめた。


わざわざこんなメール送ってくるなんて、あいつ、どうかしたんだろうか。

明日にでも雨が降るかもしれないな。

そんなことを考えながら、俺はもう一度レンズを覗きたくなった。

あ。

虹が出てる。

・・・・。

急いでベランダに出ると、そこにはあいつが見ていたものと同じものが広がっていた。


その日の夜、また携帯がなった。

今日けよく携帯がなるな。

俺の携帯は滅多にならない。なぜなら特定の人にしか教えてないからだ。

受信BOXを開くと、高校時代の唯一の友人、達也からだった。

あいつといい、達也といい、今日はなんだか変じゃないか。

俺は急に胸の辺りがざわざわし始めたのを感じた。


「あいつ、今日死んだらしい」

俺の視界は真っ暗になった。

ゴト。

携帯が落ちる。

俺はもう一度ベランダに出た。

そこには真っ暗な空だけが広がっていた。

星ひとつない、真っ暗な空。

あぁ、あいつ星になれなかったんだな。


あいつの葬式は大雨の中行われた。

そして俺は奇妙な話を聞いた。

あいつはあの日の早朝、ビルから飛び降りたそうだ。

しかし、俺にメールが来たのは確か昼を過ぎていた。


あぁ、あいつ虹になったんだな。


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― 新着の感想 ―
[一言] 切ないけど胸を打つストーリーで、 とても良かったです。 彼女とのエピソードなんかあったら もっと入り込めたと思います。 次回作もがんばってください。
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