第七話 勇者の魔法具は
「では、勇者の魔法具を取りに行きましょうか」
「やったあ!これで僕も魔法具が手に入る!」
キラキラと顔を輝かせながら嬉しそうに叫ぶ拓斗。餓鬼か、お前は。
「なあ、勇者の魔法具って、やっぱり強いのか?」
特別な扱いがされてるみたいだし。
「ええ、最強です。それは最も硬く、たちまち相手の武器を折ってしまうほどです」
おお、さすがは勇者の魔法具だな。でもなんだか可笑しくないか?
「それって、武器だよな?」
「もちろん武器に決まってるじゃないですか」
だよな。勇者の魔法具なんだから、武器なのは当然だよな。
「こちらです」
そこは、少し狭い部屋だった。といっても、普通の部屋ぐらいはあるが。
その部屋の真ん中に、いかにもといった感じの物が置いてあった。置いてあったのだが…。
「なあ、あれってどう見ても…」
「うん、僕もそう思う」
「私の眼がおかしいわけじゃないんだね…」
「…だが、あれは」
「ああ、ありゃ、武器じゃないね」
俺、拓斗、美咲、啓、瑠香の順に感想を述べる。
その視線の先にあったのは、銀に金色で装飾がされた
「これが勇者の魔法具、『約束された勝利の盾』です」
大きな盾だった。そしてそのフレーズは盾ではなく剣では…。
「「「「「……」」」」」
もはや何も言えなくなる俺たち。
それをどう勘違いしたのか
「やはり、これは素晴らしいと思いますよね!特に―――――」
と熱弁を揮い始めるフィーアさん。
「おい、お前ら、大丈夫か?」
そんな俺らに苦笑しながら声を掛けるオルガーさん。
俺はようやく、思考を再開させることができるようになった。
「あれ、誰が造ったんだよ…」
「初代勇者だ。なんでも、「勇者は普通じゃつまらない」から盾にしたらしい」
なにしてくれたんだよ、初代勇者。
聞く限りだと、相当の変人だったみたいだな。
「拓斗は何代目なんだ?」
ついでなので聞いてみる。
「確か11代目だ」
結構頻繁に魔王は現れるようだ。地味にいやらしい。
俺たちがそんな会話をしている頃、拓斗は勇猛果敢にも、フィーアさんに抗議していた。
「それって、武器って言わないじゃないですか!」
すると、フィーアさんは誇らしげに胸を張った。
「いいえ、これは武器でもあるんです」
剣に変わる形態変化機能でもあるんだろうか。
「この盾は絶対に壊れません。それを利用して、床と盾で相手を挟み込み、潰すんです」
………どうやらこの世界では、勇者は想像をはるかに超えるほど、地味で残酷な職業だったらしい。
世界の価値観?の違いを噛み締める俺たちだった。
普通だとおもしろくないので、普通じゃなくしてみました。
盾で敵を潰しつつ戦う勇者…なんかもう勇者じゃないですね。




