第五話 実は私は
続いて連れてこられたのは、
「すごいね、これ」
「わあ、いっぱいあるよ~」
「多いな」
「この国は金持ちだねえ」
なんでもござれの宝物庫。宝石、武具、美術品など、意外と無造作に置かれているが、ここにあるということは、やはりどれも一級品なのだろう。
そんな宝物庫の中を、フィーアさんはずんずんと進んでいく。それはもう見事なほど周りを見ずに。
おかげで、拓斗が光の膜で、落ちた宝石を受け止めたり。
あ、あれ日本円で1千万はあるな。
美咲が風を吹かせて、倒れそうな置物を支えたり。
お、あれ○○の作品に似てるなー。
啓が床を盛り上げてバリアにして、飛んできた剣を防いだり。
黒い刀ってどうやって造るんだろう、かっけえな。
瑠香が溜まりにに溜まった埃を跡形も無く燃やしたり、
灰まで残らないなんてメチャクチャ便利じゃん!
なんてことがあった。
まあ、それは置いておいて。
ようやく目的の場所にたどり着いたらしく、暴走(本人はそうは思っていない)していたフィーアさんの動きが止まった。
「では、みなさんには、ここにある魔法具の中から、自分の気に入った物を一つ選んでもらいます」
そう言い振り向いて、ようやく今の状況に気がついたらしい。つまり、自分がやらかしたことと、4人の頑張りに。
「みなさんの魔法の技術の向上を促してみたのだすが、成功して良かったです」
笑顔で淀みなく、これはわざとです って言い切ったよ、この人。
絶対嘘だよね、後ろに振り向いた時に一瞬固まってたし。
フィーアさんはドジっ子の要素を持っているのかもしれない、と思った出来事だった。
どこをどう間違えたのか、ドジっ子になってしまったフィーアさんでした。