第二十九話 命の危機、切実に
…俺は何処から突っ込めばいいのだろうか。
何故か森の中のはずなのに、テーブルと椅子があり、そこで紅茶を飲んでる拓斗と啓と見知らぬ青年。かと思えば、美咲と瑠璃は、10歳ぐらいの子供二人と一緒に遊んでいる。あれ、魔族じゃね?ちなみに、カレンとレオは、なんとも言えない顔でそれらを眺めていた。
目をゴシゴシと擦ってみる。うん、何も変わらん。どうやら夢では無いらしい。
「あ、優也。おかえりー」
美咲の声を皮切りに、次々と俺たちの存在に気付く彼らにまずは一言。
「とりあえずさ、助けてやろうよ」
指で示す先には、一人の青年が木から吊るされていた。
とりあえず青年を助けて、事情を聞いてみたところ、どうやら彼は、俺が帰ってこなかったときの人質だったらしい。だが、あまりの鬱陶しさゆえ、吊るすことにしたそうな。
「お前らの仲間じゃないのか?」
「…ええ、一応は」
認めることすらも恥、といわんばかりの顔になる優雅な青年、もといフィストさん。そこまで嫌か。
「それとさ、あんたたちって魔族だよな?」
「よくわかりましたね」
「いや、普通分かるでしょ」
な?と周りを見回した瞬間、ざっと視線を逸らされた。え、まさか。
「…分からなかったのか」
無言が何よりの答えだった。沈黙の空気が痛い。とりあえず何か話題を!
「ま、魔族って人間の敵じゃないのか?」
言うタイミングとしては間違えた気がしなくもないが、気まずさが無くなっただけよしとする。
「確かにそうですが、私たちにはそこまでの敵愾心はありませんからね」
敵愾心?なんか言い方に引っかかるが…、気のせいか。
「で、なんで紅茶飲んでたり、遊んでたりってことになるんだよ」
「暇だったもので」
………えぇ。なんかすげー納得いかないんだけど。
「拓斗たちも、なんで一緒になってんだよ」
「優也が来ないから、僕たち暇だったんだよ」
「そうそう、優也を待ってたの」
「元を辿れば優也のせいじゃないか」
「俺のせいかよ!」
啓からも、「お前が悪い!」という視線が飛んでくる。まじですか。
「レオとカレンは?」
そう尋ねると、二人はなんとも言い難い顔をした。
「いや…、俺たちはさ…」
「魔族は敵だって教えられてきたんだけど…」
歯切れの悪い答え。実際に蓋開けて見れば、自分たちの思っていた状況とは全然違うことに戸惑っているようだった。そして再びの沈黙。もう俺でも無理、誰か助けて!
「…じゃあ僕たちは行くね」
「…え、ちょ、待っ」
こうして彼ら、魔族とセツナは帰っていきましたとさ。逃げられた気がするのは俺だけか?そして途中からあとの三人空気だったな!何しに来たんだ!そして何より、
「ここ何処だよおぉぉぉ!」
異世界に来て、旅に出てから数日で、森の中で遭難。
生きて帰れることを、切に女神に祈っておこう。
締りのない終わり方ですみません。




