第二十六話 人質は馬鹿
今回は読まなくても問題ないです。次に繋げるつじつま合わせのようなものなので。
「で、どうして魔族が僕たちのことを知っているんだ」
「それは秘密です」
「優也を何処に、何の用で連れ去った」
「それも秘密です」
聞いたところで答える気は無いということか。
「なら、勝手に探させてもらう」
踵を返して去ろうとすると、目の前に雷が落ちてきた。
「それは困ります。言ったでしょう?私たちの目的は時間稼ぎだと」
どうやらただでは行かせてくれないらしい。
「つまり、お前らを倒していけと?」
「いえ、その必要はありません。用事が終われば、彼はすぐに戻ってきますから」
すぐに戻ってくる?わざわざ攫ったはずの優也を見逃すと?それに、用事とやらの内容も分からない。
「信用できないな」
「そうですか。でも、どうするんですか?探すといっても、何処に居るかあなたたちは知らない。もしかしたら、ここから随分と離れているかもしれない」
「!?それは…」
「闇雲に探すよりは、ここで待っていた方が得策というものでは?」
確かにそうだ。大まかにすらも居場所を知らない優也を、僕らが見つけられる可能性はかなり低い。
それよりは、此処に戻ってくるであろう優也を待つ方が、絶対に良いに決まっている。
しかし、それは彼らが嘘をついていない時の話だ。もしこれが嘘だったら、唯の時間の無駄になってしまう。
どうするべきか。
「なら、これはどうです?私たちは人質として、そこの馬鹿、もといゼーガを差し出します。それで、もし無事に彼が戻ってきたら解放ということで」
「何、俺様が馬鹿だと!?」
「この馬鹿自体が捨て駒という可能性は無いのか?」
「悔しいことですが、一応これでも私たちの仲間ですので、それはできないんですよ…」
本当に彼の顔は悔しそうだった。
「…分かった。もし優也が帰ってこなかったら」
「ええ、人質はお好きにして構いません」
こうして、僕たちと魔族たちとの間での交渉は、平和的に終了した。
「ねえ、俺って馬鹿なの!?そうなの!?」
人質という言葉は、馬鹿の耳に入っていないようだった。それが馬鹿だというのに。




