第二十三話 接触
ただいま俺たちは、コルナを出て、リュミナシアにある宗教都市ジェスダに向かっている。
あんなところに長居なんてしていたくない。
「相当根に持ってるな…」
「コンプレックスを抉られたからねぇ…」
こそこそと後ろで喋るレオとカレンを睨みつけると、びくっと身体を跳ねあがらせ、すぐさま後ろに後退し始めた。こちらも結構なトラウマになっているようである。
「と、ところで、ジェスダってどんなところなんだ?」
拓斗が必死に雰囲気を持ちなおそうとする。
「うーんとね、簡単に言うと、国全体で女神をすごく信仰してるの」
「へえ、そうなんだ…?」
結果としては、成功したと言っていいだろう。質問の答えとしては、カレンは簡単にし過ぎだと思うが。
まあ元々の目的は雰囲気の修復だったので、拓斗もそれ以上聞くことはしなかった(というか、聞いても大した説明はもらえなさそうだと思ったのだろう)。
数時間後。
「あれ、ここ何処?」
「どうやら迷子らしいな」
迷いました、現在進行形で。
「地図を見てたんじゃないのか?」
「だって、ここ一帯全部森なんだもん!」
ぐるりと見回してみても、森、森、森。確かに、ここが何処だか分からんな。
「でも、いくら何でもここまで来て、気が付かないなんておかしいだろ」
「う~ん、そうなんだよね…」
「何でだ?」
疑問に疑問で返すなよ、ましてやこっちは異世界人だぞ。
「この森、変だ」
いきなり啓が口を開いた。いつも無言の奴がいきなり話し出すと、結構驚いたりするものである。
「びっくりした…。変?何がだ」
「生き物の気配がしない」
言われてみれば、なるほど確かにその通りである。静かすぎるのだ。まるでこの森には俺たちしか居ないかのように…。
俺たちしかいない?
「これは罠か!?」
「そうだよ」
はっ、と振り向くと、そこには、さっきまでいなかったはずの者がいた。
顔はフードで覆われており、見えるのは口元のみ。
「誰だ!」
俺たちが構えるなか、その者はフードを取った。
「やっと会えた。ある意味、初めまして、かな?」
「!?」
「え、嘘!?」
「女!?」
「優也と同じ顔…!?」
「そんなことがあるものなの…!?」
各々が驚きの表情をするなかで、最も驚いていたのは俺だった。
「お前…」
「気がついた?」
「お前…、男だよな!?」
「「「「「「「……………はい?」」」」」」」
固まった皆の間を、隙間風が音を立てて通りすぎて言った。
シリアスでも笑いは取る!
ちなみに最後のかぎかっこには、相手の分も入っていたり。




