第二十一話 動き出す歯車
広々とした部屋。明かりの一切灯っていない暗い一室に、二人の男が居た。
「彼らは行ったか?」
「はい、今さっき出ていくのを確認しました」
「そうか、では手筈通りに」
「了解しました」
そう言い残すと、一人の男は去っていった。
残ったのは、もう一人。
「決して彼らに」
口には堪え切れずに浮かんだ笑み。
「魔王を倒させてはならん」
彼の眼は、闇の中でもなお爛々としていた。
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静寂に支配されていた草原。
「あ、今出たよ」
沈黙を破ったのは、さっきまで眼を閉じていた少年だった。
「じゃあ俺たちも動くとするか」
青年もそれを皮切りにして発言する。
「やっと会えるんだよね?わ~い、楽しみ~。だよね、イリル?」
「…うん」
ぴょんぴょんと嬉しそうにとび跳ねる少女は、隣に立っている少女に話しかけ、
「残念ですが、ここから彼らのいる所までは遠いんですから、まだ会えませんよ」
一番年上と思われる青年が、落ち着きのない彼女をたしなめた。
「なあ、なんか俺たち卑怯じゃねえか?相手は何も知らないのに…」
青年の言葉を聞いた瞬間、一同は再び沈黙する。
しかし少年は、笑顔を浮かべると飄々と言い放った。
「何言ってんの?これも立派な戦術だよ。それに一応、相手は敵なんだし」
笑っているはずなのに、むしろ恐ろしさを増す彼に他の四人は、
((((絶対に敵に回すもんか!))))
と心に誓ったのは別の話。
「そ、そうだな。じゃあ追いかけるとするか」
最後に響いたその言葉の残響も消えぬうちに、彼らはその場から居なくなっていた。
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貿易都市の前で、
「ここがコルナかー」
「おっきいね!」
都市の大きさに感心している五人と、
「まあな、コルナはリーディエールでも五指にはいる程の大きな都市だからな」
それに解説を加える二人と、
「…もう何を言っていいのやら」
アハハハハ、と乾いた笑い声をあげる者がいたのも、また別の話。
はい、呼んだ人は分かると思いますが、
黒幕(というか敵?)は一つじゃないです。
…話がおかしな方向に行かないか、今さらながらに心配になってきました。




