第十六話 新しき問い
眼を開けるとそこは、知らない天井だった。…ってこれ何回目だよ!
「俺って運がないのだろうか…」
「ないだろうな」
どうやら心に思っていたことをそのまま口に出していたらしい。
声のした方を見ると苦笑いのオルガーさんがいた。…そんなに運ないかな、俺。
部屋を見回してみると、ここは気絶する前に俺たちがいた部屋だったことに気付いた。ただし、家具はこのベッドしかないが。
じゃあ、知らない天井じゃないじゃん!とさっきの自分に恥ずかしい思いをする。
「優也様、起きたのですね」
身体を起こすと、安心しましたオーラ全開のフィーアさんと、そしてその後ろに、
「ア、アハハハハハハ」
「モウシマセンゴメンナサイモウシマセンゴメンナサイ―――」
魂の抜けたような顔でうわ言を呟き続ける女性陣二人と、無言で倒れ伏している男性陣二人が視界に入った。って、え?
「身体に異常はありませんか?」
「ああ、別になんともないが」
「それはよかった」
聞きたい。何があったのか無償に聞きたい。が、俺の中の勘が警報を鳴らしていた。あれは絶対に聞いてはいけないと。…見なかったことにしよう。
「ところであのとき、優也様の近くに剣があった気がしたのですが…何か覚えはありませんか?」
「剣?」
そう言われて思い出した。あのとき何があったのかを。
あれを出したのは俺だ。だが俺はそもそも、使い方なんて知らなかった。
なのに、あの瞬間。まるでそれがさも当たり前かのように、俺は対処をしていた。
今の俺では死ぬ、とか、これからに支障が出てくる可能性が、などと今思い返せば疑問が浮かぶことばかりなのに、あのときの俺は全てをわかっていた。
あれはまぎれもなく自分自身。だって、そのときの感覚を、俺はまだ覚えているから。
剣もそうだ、確かあのとき、俺は腕輪に手を当てて、
「発動」
その瞬間、どこからかいきなり白い剣が現れた。それも、あのときと全く同じ剣が。
「これは一体…?」
フィーアさんが聞いて来るが、俺にもさっぱり分からない。
この剣にもよく見ると銀の意匠が凝らされており、そのデザインも腕輪と全く一緒。ということは、これは腕輪によるものと見てまず間違いない。
試しに持ってみるが、見た目に反して重さはそんなに無い。やはりこれは巫女が言っていた通り、魔法具なのだろう。
どうやって戻すのか…。と考えていたら、勝手に戻った。どうやら戻すときは、思うだけでいいようだ。
とりあえず二人には説明してみたが、二人とも、そんな現象は聞いたことがないと言う。
三人で悩むがさっぱり答えは見つからず。
「まあ、使えるもんは使っとけよ、そのときのお前が普通に使ってたなら、少なくとも問題はないだろう」
というオルガーさんの台詞で、今度からはこの剣を使うことにした。
また新たな疑問を残して。
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俺は外に出て、剣での素振りをしていた。真夜中なのにも関わらず。
それにはもちろん理由がある。眠れなかったのだ。
さきほどの件について考えていた、というのもあるが、それよりも大きな要因は、四人の存在である。
話が一通り済むと、フィーアさんは四人に一言、
「今日はそのままで寝てください、反省です」
と言うと、そのまま出て行ってしまい、訳のわからない俺に「まあ、気にするな」と言い残してオルガーさんも帰ってしまった。そうして、本当に四人は床で寝ることになったのだ。
せめて布団ぐらいは、と俺が渡そうとしても、四人は頑として受け取らず(というか未だに若干現実に戻ってこれていない)、寝るに寝れないのでこうして出てきたというわけである。
「それに、俺は人一倍やらないとな」
四人には才能があるが、俺にはない。
だからこそなおさら、少しでも追いつかなければいけない。
「といっても、足を引っ張っているのには変わりないがな」
空を仰ぎつつ、自嘲するように笑う。
「あいつだったら、何か知ってるよな…」
ふと思い出すのは、俺をここへ連れてきて、腕輪を渡した(間接的にだが)人物。
結局、何一つ分からずじまいのままだ。
「まあ、考えても仕方がないか」
俺は雑念を振り払うと、素振りを再開した。
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「あ」
「どうした?」
「彼がね、ようやくあれを使ったみたい」
「ということは、戻ったのか!?」
「たぶん。でも連絡が来ないところを見ると、戻ったのは一瞬だけみたい」
「そうか、残念だったな」
「うん。でも、そのときは近い」
そう言うと、少年は微笑んだ。
「待ってるからね」
ようやく、黒幕(?)的なものが出てきました。果たして彼らは一体!?
というところで終わりです。
ちなみに次回にはたぶん出ません。出るのは当分先の予定です。




