第十五話 発動
このまま喰らえば、今の俺は死ぬだろう。
回避をするにはもう間に合わない。ならば防ぐしかない。
といっても、魔法で防げば誰かに見られ、これからに支障が出る可能性がある。
ならば、取るべき手段は一つ。
「発動」
俺は腕輪に手を当て呟くと、具現化したそれを右手で掴み、自らの前に思い切り突き刺した。
------------------------------
「おい、大丈夫か!?」
オルガーが先に入っていった部屋からは、大量の煙が溢れていた。
やはり、魔族の襲撃に…。
部屋に入ると、部屋全体に煙が充満しており、中がどうなっているのか確かめることはできない。
私は風で煙を吹き飛ばした。するとそこには、プルプルと小刻みに震えながら頭を下げる瑠香様と、見たことの無い剣を突き刺した状態で膝をついている優也様と、
「な、なんだ!?ゴホッ」
「ゴホッ、ゴホッ、煙がいきなり…」
「…ケフッ」
「…ごめん、ついやりすぎた」
アフロと化した髪に気付かず、キョトンとしている拓斗様達だった。ちなみに、瑠香様の口角は上がっていた。
…だいたい、何が起こったのかわかりました。わかりましたが…
「ブハッ!ゴフッ」
「クッ」
私はなんとか笑いを堪えると、隣に居たオルガーに肘鉄を喰らわせた(急所に)。痛みに悶えるオルガー。
「…とりあえず、大丈夫ですか?」
「それより、オルガーさ」
「大丈夫です」
「いや、で」
「大丈夫です」
「ハイ、スミマセン」
未だに食い下がろうとしている美咲様にニッコリ笑顔で微笑むと、なぜか青ざめた顔に片言言葉で謝って来た。具合でも悪いのだろうか。
「優也様、大丈夫ですか?」
さっきから一言も喋らず、身じろぎもしない。
そう思い見ていた先で、その身はフラリと傾いで、力無く倒れた。
「「「優也!?」」」「優也様!?」
急いで駆けよると優也様は気絶していた。また、近くにあった剣は、その存在自体が夢であったかのように跡形もなく消えていた。
急いで駆けより様子を見たが、特に外傷はなく、疲労で倒れただけのようなのでとりあえずは安心する。
「オルガー、そこで座ってないで、優也様をベッドまで運んでください」
「まったく、誰のせいだよ…」
渋々といった感じで立ち上がり、優也様を楽々と抱えて運んでいくオルガー。…お姫様抱っこで。
そんな優也様を、少しだけ可愛いと思ってしまった。…少しだけですよ!
「優也は大丈夫なんですか!?」
「ええ、目立った外傷も特にありませんし、少し経てば目を覚ますでしょう。それより」
どうしてくれようか、この惨状。
家具は粉々で壁際に寄せられており、よく見れば、床には罅が入っている。ベッドが無事なのが奇跡なくらいだ。
「とりあえず、詳しい説明を聞きましょうか」
とってもニッコリ笑顔で言うと、四人はブンブンと音がつきそうな程、首を縦に動かした。
後に勇者達が『フィーアさんを怒らせてはいけない』という鉄則を知るのは、また別の話。
…あれ?フィーアさんのキャラがだんだんおかしくなっていっているような…。




