第十一話 異世界-ここ-と地球-いせかい- Part1
「どうして、平気なの…?」
そうあたしに聞いてきた美咲は、
「どうして私たちなの!?なんで勇者なんてやらないといけないの!?ねえ、どうして!?」
異世界に来てからずっとため込んでいたであろう、心の叫びを吐き出した。
「帰してよ…。私、帰りたいよ…」
あたしはそれを見て、なんて真っ直ぐなんだろう、と思った。
多分、拓斗も優也も啓も、そしてあたしも、心の何処かが歪んでいる。
だから、美咲の純粋さが少し羨ましくて、眩しかった。
どうか、そのまま純粋でいて。あたしたちのように、歪まないで。
慟哭する彼女を、あたしはそっと、抱き寄せた。
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「それは一体誰だ」
そう聞くと、彼女は苦々しい顔をした。
「どうやら相手の方が一枚上手だったらしく、逃げられてしまいました」
でも、と続けると、懐から何かを取り出す。
「こんな物を落としていきました。爪があまかったようですね」
それは、白い腕輪だった。よく見ると、所々に銀で意匠が凝らされており、なかなかの一級品である。
「これは一体…」
「どうやら、魔法具のようです。どんな物かは分かりませんが…」
もっとよく見てみようとそれを受け取った瞬間、
「なに!?」
「どうして!?」
俺の右腕に、腕輪が勝手に装着された。
「どういうことだ!?」
外そうとしても全く外れない。彼女が動揺しているところからして、これは彼女の仕業ではない。
ということはつまり、
「これはあいつの仕業なのか…?」
「どうしてそう思うのですか?」
俺は、召喚されるときに起こった現象を伝えた。
「ということはつまり、その人はあなたに何らかの用があったと…?」
「多分だがな。この腕輪が勝手に付いたことからして、わざと落としていった可能性が高い」
「ちなみに、なにか問題とかは…?」
「いや、特に何も」
どうやら、持ち主に悪影響を及ぼす物ではないようだ。
「すみません、こちらの不注意で…」
「仕方無いだろ。予想もできなかったんだから」
とりあえず様子見ということで、一端落ち着いた。
「じゃあ、そろそろ戻るか。何かあったら伝えてくれ」
「はい、分かりました。あ、ちょっといいですか?」
俺が帰ろうと扉を開けたとき、後ろから待ったを掛けられた。
「ん?なんだ?」
「優也さんは、他の方々と、髪と眼の色が違っているようですが…、同じところから来たのですよね?」
「ああ、それはな」
俺は孤児なんだ。
そう言うと、俺は部屋を出た。




