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HERO'S  作者: タロー
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ep1.2-first contact-

 私はコンビニから出て学校まで一直線の大通りを歩き始めた。

音楽雑誌に私の敬愛するキース様が載っていたものだからついつい立ち読みしてしまった。

さて、いつも通りの通学に戻るか。

この大通りは学校までほんとに一直線で、学校にぶつかった所からはT字路になっている。

この通りには喫茶店やレストラン、ホビーショップや楽器屋、ゲームセンターなど放課後の暇つぶしに最適な、それどころか大抵のモノはここでそろってしまうくらい店が並んでいる。

今は登校時間なので当然ほとんどの店は閉まっており、登校する学生の姿しか見えないはずなのだが、

「・・・今日はやけに静かね。」

内心そんなことを考えつつ、ポケットに手を突っ込んでそそくさと学校に向かった。


「ココが北耀学園か・・・」

僕は校門の前で校舎を見上げていた。

5階建ての校舎と3階建ての校舎があり、

サッカー場、ラグビー場、野球場がそれぞれ別にある。

あぁ、こんな学校初めて見た。

なんでこんなに広いんだろうか。

僕が田舎者なだけか?

うん、たぶんそうなのだろう。

「確か職員室は・・・5階の方の1階だったかな・・・」

僕は足を校門向かって左側の5階建ての校舎に向けた


「やっぱりおかしい。」

私は異常を察知した。

通常通りであれば朝っぱらから厳つい声を張り上げた汗臭いラグビー部共や野球部が練習しているのだが、

「今日は実は休みでしたとか、そんなオチか?」

そんなことはあり得ない。

如何に退屈な授業をやり過ごすか考えるのを日課にしている私だ。

休みともなればその日を忘れるはずがない。

だとすれば・・・

「はぁ、私の馬鹿・・・」

ため息をつきつつ時計に目をやる。

二つの針が示す時刻は8時30分、どうやら立ち読みしすぎたらしい。

いつも遅刻している私だが、喜んで遅刻しているわけではない。

ゆとりをもって行動しているだけなのだ。

だから今日のように、たまたま間に合いそうな日は

極力遅刻しないように努力しているわけだが・・・

「ま、いつも通りか・・・」

気にしても仕方ないうえ、いつものことと言えばいつものことなので

このことは気にせず、校門向かって右側の4階建ての校舎に足を向けた。


「失礼しまーす。」

僕は職員室へと足を踏み入れお決まりの間延びしたあいさつをする。

すると即座に奥の方から、

「君が相原君か!ようこそ北耀学園へ。」

「・・・あ、どうも。」

高級そうなスーツを身にまとい、眼鏡をかけた純朴そうなおじさんが声を張り上げた。

不意打ちのように声をかけられ上手く返事ができず、気の抜けた声を返した。

「相原君は・・・2年B組だったね。向坂君!教室まで案内したまえ。」

「りょーかいしました。校長。」

向坂君・・・と呼ばれた女性が気だるそうな返事をして椅子から立ち上がった。

スーツにタイトスカートといういかにも教師っぽそうな服装、

シャープな印象を与えるシルバーのメガネ、結わえられた髪、

そして射殺すような眼光。

なぜだろう、すごく教師みたいな見た目なのにその眼を見てしまった瞬間から、

こいつはヒットマンかCIAか何かにしか見えなくなってしまった。

ヒットマン向坂先生が僕へと近づいてくる。

「担任の向坂ひとみだ。あんたが相原荘介だね?」

「は、はい。よろしくおねがしゃす。」

びびって変な挨拶しちまいましたよ。

「あんた・・・びびってんだろ。まぁ、当然の反応だな。

ただお前が思っているより幾分優しい人間だと思うぞ?今年からよろしくな。」

チワワなら射殺せそうな眼をこちらに向けたまま発した言葉は完全に想定外で、

これからの学園生活に希望を抱かせる暖かみを帯びた言葉だった。

「すいません、よろしくお願いします。」

僕は先生にお辞儀をした後、差し出された手を握り返した。

手は暖かく僕の手を力強く握り返してくれた。

「よし。互いに挨拶も済んだし、教室に行こうか。ついてきて。」


 すでにHRが始まっており校内はとても静かだ。

まるで世界に私一人しかいなくなってしまったような錯覚に陥る。

HR中に教室に入るのも間抜けなのでノロノロと3階にある2年B組へと向かう。

「うーん・・・今日はなんて言い訳しようか。

トラックが交差点に突っ込んできて交通事故に遭いそうになったんですが寸でのところで緊急回避。しかし横転したトラックが道を封鎖したので迂回しなければならなくなって、

このままじゃ遅刻しそうだなと思い、

たまたま近くにあった原付にまたがって15の夜をやっていたら警察に捕まって遅れました。

・・・完璧だわ。」

どうせ、誤魔化しても意味ないんだ。だったら面白おかしくするのが私の流儀!

でも流石に最後は犯罪なのでちょっと改変しとこう。

正直に音楽雑誌読んでましたなんて言えないし。

そして私は不自然にうるさい2年B組教室のドアの取っ手に手を掛けた。


僕は教壇に立って黒板にでっかく名前を書かれて自己紹介をしている途中だった。

教室の後ろのドアが開き、黒髪のよく似合う女生徒が気だるそうな顔で入ってきた。

「おはよざまぁす。」

気だるい表情にぴったりな気だるそうな格好の女生徒が

呂律のあまり回ってない気だるい声で気だるい返事をした。

「お、青山。今転校生が自己紹介中だからさっさと席に座れ。

今日は遅刻の理由聞かないから、放課後までに反省文原稿用紙一枚な。」

「・・・はーい。」

遅刻に反省文ですか、先生厳しいですね。

「ほら荘介、自己紹介の続きだ。」

僕はしばし青山という女生徒に目がいってしまっていたが先生の言葉で正気に戻った。

どうやらあの生徒は日ごろから遅刻しているようだ。

先生の対応にも動じずさっさと窓際一番後ろ席に座って突っ伏している。

「おい青山、そこは荘介の席だぞ。お前はそこの隣だ。」

「この席日当たりが良くて寝るのに最適なんですけど・・・だめですか?」

おい、青山さん。てめーはこんな状況で自分の席でもない席に、

あたかも自分の席であるかのように座ることができるんですか。

「そーちゃん、私の席と交換しない?」

その上勝手にあだ名で呼んで両手を合わせて席替えしようと言ってくる始末。

こいつぁ大物ですよ先生。

「青山、反省文一枚追加。」

「すんません、冗談ですから。戻りますんで勘弁してください。」

流石に反省文追加は嫌だったのか、青山さんはすぐ隣の自分の席に戻った。

先生も鬼畜な提案をいたしますなぁ。脱帽ものです。

「荘介、もう自己紹介はいいから自分の席に座ってくれ。」

自己紹介もなにも、名前と転校前の学校のことしか話してないんですけど・・・

まぁいいや。

僕は壇上でみんなに向かって一礼をして自分の席、

気だるそうにしてる青山さんの隣の席に座った。

席に座ってすぐに先生がHRを切り上げたが・・・

「荘介くん。君、誰かに殴られたりしたか?」

すぐ隣の青山さんが不意にそんなことを聞いてきた。

ドキッとしたが、なんでそんなことを聞くのだろうという疑問にすぐ変わった。

「いや、ないよ。ケンカは嫌いだし。」

だから、僕はいつもの癖でうそをついた。

「・・・そう。」

いまいち釈然としない感じの青山さん。その視線は明らかに僕の眼ではなく

若干赤みがかかった僕の左耳の下あたり、以前不良に殴られたところを見ていた。

・・・あんたに情けを掛けられる筋合いは無いね。

「いきなりどうしたんだい?青山さん。」

僕は平静を装い、疑問を投げ返した。

「青山耀子。耀子でいいわ。ただ、あなたに良く似た人が以前路地で殴られていたのを見てね。

同じ人かなぁって思ったのよ。」

どうやらこいつにみっともないところを見られていたらしい。

耀子は立ち上がり僕を見つめ、

「なんともないならいいわ。ただ、あまりいろいろと抱え込みすぎると壊れるわよ。」

とだけ言って教室を出て行った。

なぜあんな知った風な口をたたけるのだろう。昔から僕を知っているような口を。

この街の知り合いはもういないはずなのに。

新たな疑問を抱えつつも、僕の学園生活は始まった。


まぁ半年振りです。

部活がね・・・忙しいんです。

あとちょいで引退なんでそしたらちょっと早くなるかもしれません。

気長にお待ちください・・・

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