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死刑免罪戦

「その願い、叶えましょう」

勝ち残った者だけに。

24人の死刑囚が殺し合い、勝ち残ったものは願いを叶えられる。

死刑免罪戦へ、ようこそ。

 大聖堂みたいな建物でカメラを構える。目の前のステンドグラスには、僕、赤星聖都が写っていた。登録者2人のいわゆる底辺youtuberである僕は、この「死刑免罪戦」の動画を撮っている。トーナメント形式で行われる、死刑囚同士の戦い。勝ち残ったものは、どんな願いも叶えてもらえるらしい。執行されていない者から、何百年も前の者までいる。僕はライブ配信と普通の撮影、両方でやっている。クラスメイトは全員知っているが、知らない人に見られる可能性があるため、顔出しはしていない。

 運営者からレンタルしたノートパソコンに参加者が表示される。麻原彰晃、加藤智大、植松聖。僕もある程度は知っている。それに、かなり興味がある。

 どこかにスピーカーでもあるのか、クラシック音楽が流れ始めた。これは僕の好きな曲「主よ、人の望みの喜びよ」。大聖堂だからパイプオルガンでもあるのだろうか。「戦闘開始」のアナウンス。

 「さあ始まりました。死刑免罪戦!!私は冥界一のハイテンションガール、実況のメアリーだ。撮影、飲食OK!参加者と観客、一人ひとりに個室も用意されているぞ!よかったら使ってくれ!」

 金髪の若い女性がここでのルールを説明している。声がでかいなと思いながら、僕は説明を聞く。

「まずは一人目、幕開けを飾るのは、コイツだ!」

さら地だったはずの闘技場に、信号が生え、シマウマ模様の横断歩道が映し出される。人影が生え、歩き出す。

「2008年ヲタクの聖地、秋葉原の歩行者天国に、彼は突如現れた!2tトラックで突撃し、ダガーナイフを振り回し、7人を殺害!刑務所ではラップやアート、執筆などの活動を開始、2022年に死刑執行!獄中ラッパー、その名はー」

突然トラックが突っ込み、歩行者を轢く。トラックからインテリとオタクが混ざったような人物が登場。膝を組み、ボンネットの上に座る。

「加藤 智大!」

秋葉原通り魔事件の犯人、加藤智大。僕も彼の書籍を少しだけ読んだことはある。

観客席から歓声と罵倒が飛ぶ。だが一人、彼に食って掛かる人物がいた。

「おい、テメェ!よくも俺の娘を!!」

筋肉質な中年男性が、加藤を怒鳴った。おそらく被害者遺族だ。撮影中に怒鳴られたら迷惑だ。静かにしてほしい。

 加藤は無表情で彼の方を向く。その目は、ぼーっとしているようにも、観察しているようにも見えた。

血走った目を加藤に向け、胸ぐらを掴む。流れでそのまま首を絞める。

「観戦者の入場は規約違反です。」

アナウンスも無視し、彼は罵声を浴びせる。加藤の手が、ポケットに伸びる。中年男性はおそらく気づいていない。その時だった。

ごとっ、と。

その瞬間、中年男性の首が、静かに落ちた。切り口はまるで、包丁で切られたソーセージのように滑らかだった。加藤は動いていない。一歩も。血も出ていない。蒸発するように中年男性の死体が消えた。

「何なんだ......あれは。」

その声に答えるかのように、メアリーが解説する。

「魔法、彼らの能力です。自身の負の感情より発動します。先に言っておきます。貴方がたには参加者、闘士を傷つけることはできません。不可能です。

しかし安心してください。よほどのことがない限り、彼らは観客を攻撃できません。」

恐怖、好奇心、吐き気。数々の感情が入り乱れるなか、加藤は宙を見つめていた。

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