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デジャヴ視  作者: ケト
第1章 俊翔の能力
9/11

写真

──1月23日 月曜日 8時02分


 「一番嫌いな曜日は?」と問われたら、大半の人間がこう答えるだろう。

 「それは月曜日だ」と。


 俊比も例外ではなく、やはり月曜日が大嫌いだった。


 月曜日の朝というものは憂鬱だ。

 昨日まで謳歌していた休日は気づけば跡形もなく消え去ってしまっていた。

 次の休日まで5日。驚くことに、月曜日が始まってまだ8時間しか経っていない。

 休日の1日はあっという間なのに、どうして平日の1日はこんなにも時間が経つのが遅いのか。

 

 「進め、進め……」と念じながら、俊翔は時計の針を凝視する。

 だが、当然ながら針の速度は変わらない。むしろ見続けるせいで、余計に遅く感じる始末だった。

 

「おっはよ~」

 

 芽唯が軽い声色で声を掛けてきた。


 月曜日の朝だというのに、いつも通りの明るい表情をしていた。

 毎度迷惑を被ってきたのでうんざりとしていたが、こういう時の活発さは素直にうらやましかった。


「……おはよ」


 俊翔は寝ぼけ眼をこすりながらゆっくりと言葉を返す。

 普通の人間は朝から元気でなんていられない。ましてや、今日なんて月曜日だ。

 だんだんと、身体を覚醒させていくためにゆっくりと身体を動かす。


「ゴメン。もしかして遅刻しちゃった?」


 芽唯が申し訳なさそうな表情をしていた。

 さっきまで俊翔が時計を凝視していたので勘違いしたのだろう。

 今の時刻は8時03分ちょうど。

 集合時間は8時05分なので、何の問題もない。


「……ん」


 時計を見せるために、ずいと左腕を芽唯の顔の前に差し出す。

 芽唯はムムムと顔をしかめながら時計を見る。


「えっ、もう2時30分!? 急がなきゃ!」

 

 訳の分からないことを突然言い出したかと思うや否や、芽唯は急に走り出そうとした。


「待て待て待て待て!」


 俊翔は慌てて芽唯を静止させる。急に大声を出したので少し声がかすれてしまった。

 

「よく見ろ!」


 もう一度しっかりと左腕を差し出す。

 芽唯も先ほどよりも目を凝らしながら覗き込む。


「……2時33分?」


「逆から見てるからだよ! 方向を合わせろ!」


 芽唯がゆっくりと時計回りに首を回転させる。


「……11時18分?」


「あと90度だよ!!」


 さらに時計回りに首を回転さ──


「180度首が回るわけないだろ!!」


 俊翔は諦めて腕時計を外して手渡した。

 

「おぉ! 8時03分!」


 どうして、時間を教えるだけなのにこれだけ体力を取られなければならないのか。

 芽唯から腕時計を返してもらい、付け直した。


「今が2時とか11時とかな訳がないだろ!」


「えへへ、冗談冗談」


 芽唯は笑い飛ばした。

 薄々感じていたことだ。芽唯はよくこういう冗談めいたことをする。

 だが、これが本気の場合もあるのがとても厄介だ。


「元気出たでしょ?」


 芽唯が聞いてきた。

 どうやら、俊翔に元気を出してもらうために敢えてした行動らしい。

 

「……むしろ疲れたよ」


 小さくため息を吐きながら答えた。

 芽唯の「えー」という声を無視して、学校に向かって歩き始めた。

 芽唯は置いて行かれないよう、慌てて俊翔の背中を追いかける。 


(朝からえらい振り回されたな……)


 芽唯に振り回されるのは日常茶飯事だ。だからと言って慣れるものではない。

 しかも、今日はこれで終わらないことが確定している。


 ──16時19分、芽唯のスマホカバーが割れる。

 デジャヴ視で見えた未来だ。

 

 俊翔は昨日、15時頃にデジャヴ視を使ってみた。すると、変わらずスマホカバーが割れる未来が見えた。

 今日の16時19分にスマホカバーが割れる未来は確定事項だ。そして、今日から金曜日の15時まではスマホカバーが割れる以上の出来事が起きないということも確定した。

 

(じゃあな。マイカバー)


 俊翔はポケットの中のスマホをさすり、何度目かの別れを心の中で告げる。

 5日前に覚悟は決めたはずなのに、胸のざわめきは消えない。

 訪れる不幸に飛び込むということは何度やっても慣れないものだ。


「どうしたの?」


 何も知らない芽唯の声が俊翔の耳に届く。

 未来を知っているのは俊翔、ただ独りだけだ。

 

「何も無いよ」


 俊翔は表情を崩さずに、不安を露呈させないよう答える。

 

「大丈夫」


 まるで自分に言い聞かせるように口に出した。

 

 ちらりと時計を見る。

 8時05分。あと8時間14分。

 その時が来るまでは普通通りに過ごそうと心に決めた。



──12時58分


 

 昼食の時間。

 4人はいつものように談笑しながら食事を楽しんでいた。

 話題は、つい先ほどの英語の授業についてだ。


「──ったく、あそこまで笑いものにしなくてもいいじゃないか」


 俊翔は弁当を食べながら、まだ文句をたれていた。 

 英語の授業で俊翔は先生に指名されたのだった。


──12時00分


 4時間目。

 先生から指名が入り質問に答えてから授業に入るというのが英語の冒頭の流れだ。

 当てられる順番も質問の内容もランダムだ。


「それではミスター俊翔。質問してもいいですか?」


 先生が俊翔を名指しした。

 俊翔は「OK」と返事をして立ち上がった。


「ミスター俊翔。あなたはこの休日は何をしましたか?」


 今日が月曜日ということもあり、定番の質問だった。

 だが、俊翔は言いあぐねた。

 理由は簡単だ。特に話す内容がないからだ。


「えー……、ナッシング」


「Oh。じゃあ、先週の休日は何をしましたか?」


「……な、ナッシング」


「Oh。じゃあ、普段放課後何をしますか?」


「……ナッシング」


「……あなたは悲しい人ですね」


「……」


「それでは授業に入ります。まずは教科書の──」


 クスクスと密やかな笑い声の中俊翔はゆっくりと席についた。

 顔を真っ赤にさせながら。



──12時58分



 というようなやり取りがつい約1時間前にあった。

 

「いきなり当てられて、答えが変だからってみんなに笑われて……ひどいじゃないか」


 俊翔は泣き言を言う。 


「大丈夫だよ、俊翔」


 芽唯がぐっと親指を立てる。

 どうやら、励ましてくれるようだ。


「そんなにみんな笑ってなかったよ!」


「よけい傷つくわ!!」

 

 言葉のナイフどころか、言葉のチェーンソーで一刀両断してきた。

 

「き、岸君。私は面白かったと思ったよ……」


「佐々木さん。それフォローになっていないから」


 真人と佐々木さんが何か言っていたが、ズタズタになった俊翔の心には届かなかった。


「これだから月曜日は嫌なんだ」


 俊翔が月曜日が嫌いな理由はもう1つあった。

 休日何をしていたか聞かれるからだ。


 芽唯のことが無ければ、デジャヴ視で避けれた未来だろう。

 デジャヴ視は5日の中で一番大きな変化が訪れる1分間へ飛べる能力だ。

 スマホカバーが割れる未来と、俊翔が英語の時間に質問される未来。

 前者の方が大きいと判断されたので、後者の未来を見ることが出来なかった。

 

(ちくしょう……。デジャヴ視で見れてさえいればな……。

「休日何をしてるか?」という質問が来ると分かっていれば、それに備えて休日は何かしたのに……)


 誰にも言えないので心の中で嘆くしかなかった。

 

「英語で答えるのが難しかったから、『ナッシング』って言っただけだよ」


 俊翔は言い訳じみたことを言う。


「じゃあ、俊翔は昨日と一昨日何してたの?」


 芽唯が聞いてきた。

 今回は日本語で答えればいいので簡単だ。


 俊翔は休日の行動を振り返る。


「……ゲームと漫画と動画だな」


 もう一度振り返ったが、この3つしか思い浮かばなかった。

 デジャヴ視もあったが、話すことは出来ないので答えられるのはこの3つだけだった。 


「放課後は何してるの?」


 今度は佐々木さんからの質問だ。

 俊翔はまた行動を振り返る。


「……ゲームと漫画と動画」


 デジャヴ視を除くと、やっぱりこの3つしかなかった。


「先週の土日は?」


 今度は真人からの質問だ。

 俊翔はまたまた行動を振り返る。


「……ゲームと漫画と動画」

 

 しかし、答えは変わらなかった。

 俊翔の休日は──放課後を含めて、ゲーム・漫画・動画で終わる。


「俊翔って意外と無趣味だよな」


 真人の言葉に他の2人が頷く。


「無趣味ってことはないぞ。この3つだって立派な趣味だろ」


 俊翔は反論する。


「でも、あんまりハマってないよね」


 心を見透かしたような指摘が入ってきた。

 発言者はもちろん、一番付き合いの長い芽唯だった。


 もちろん、芽唯ほど勉強が苦手ではないので3つの趣味を英語で答えることはそれほど難しいことではなかったはずだ。

 それなのに、英語で答えなかったのは突っ込まれた質問をされたくないというのと、自分の中でそこまで大切な物じゃないというのが大きな理由だろう。


 ゲームも漫画も動画も嫌いじゃない。

 だけど、好きかって言われるとそこまでだ。ただ、周りがやっているから自分もやるだけ。

 趣味かと言われると、確かに微妙だった。


「自己紹介の時、趣味の欄になんて書くの?」

 

 佐々木さんの質問に少し間を開けて考える。


「……特になし」


「無趣味じゃん」「無趣味だ」「無趣味だね」


 3人の音がそろった。

 

「……」


 何も言えなかった。

 無趣味な人間だと、今初めて気づかされた。デジャヴ視を除けばの話だが。

 逆に言えば、デジャヴ視が無ければ何も特徴のない人間ということになる。


「昔からこうだったのか?」


 真人が芽唯に聞く。

 昔の俊翔を知っているのは芽唯だけだ。


「ん~。中学の時も一緒だったかな。帰宅部だったし」


 デジャヴ視を使い始めたのは小学5年生の時からだ。

 となると、芽唯から俊翔に対する印象が変わらないのもおかしな話ではない。


「俊翔ってば、意外と休日ヒマしてること多いんだよね。

 でも、遊びに誘うのはいっつも私からなんだよ!」


 少しだけ芽唯が不機嫌な態度をとる。

 芽唯の方も俊翔が誘わない人間だということを把握していたらしい。


「そうなんだ? 4人の時は岸君から言い出すことが結構多い気がするけど」


 佐々木さんは芽唯の言葉に意外という反応を示していた。

 何度もこの4人で遊びにいったが、確かに俊翔が遊びの計画を立てることが多かった。


「でも、私と2人で居る時は私しか喋らないし。俊翔から話すこともほとんど無いし」

 

 「それは芽唯ばっかりが話すからだろ」と俊翔は反論したかったが、自分から遊びに誘わないのは事実なので何も言わないことにした。

 

「芽唯ちゃんが誘うからじゃないのかな?」


「そうそう。『小鳥さんがどうせ誘ってくる』って俊翔は考えてるから、誘わないんじゃないのか?」


 佐々木さんと真人が芽唯にアドバイスをする。

 芽唯から俊翔を遊びに誘う、そういう関係がすでに出来上がってしまっていた。

 一度出来てしまった関係を変えるのは至難の業だ。


「なるほど! じゃあ、私から誘わなければいいんだ」

 

 芽唯は期待した顔で俊翔の方を見る。

 俊翔は芽唯と目が合うと、ふっと鼻で笑った。


「そうだな。そしたら、2人で遊ぶことは無くなってしまうな」


 俊翔は芽唯のたくらみを軽くいなした。


「う~。俊翔のバカ」


 芽唯は頬を膨らませて不機嫌な態度をとるのだった。



──16時17分


 

 俊翔はいつもよりも時間を気にしていた。

 理由はもちろん、ものの数分でデジャヴ視で飛んだ時間になるからだ。

 これからデジャヴが来る。


 芽唯と俊翔はいつも通りに住宅街を2人で歩いていた。

 解散場所まであと少しだ。

 芽唯の頭では、今日はあと少しで終わりだと考えてるだろう。 

 だが俊翔にとってはここからが今日の一番の山場だ。


 ここまで、変に意識することなく日常を過ごした。

 なので、デジャヴ視で見た通りの場面がこれから訪れるだろう。

 

 だが、何がきっかけになるかは分からない。

 ちょっとした行動の変化が簡単に世界を変えてしまう。すでに、デジャヴ視で見た世界とは変わった世界なのかもしれない。

 しかし、それを確かめるすべはない。

 今の俊翔には、16時19分にデジャヴが起こることを信じるしかなかった。

 

 解散場所に着いた。

 今からここで芽唯のスマホカバーが割れる。

 きっかけは、芽唯が恥ずかしい写真を見せようと煽ってきたことだ。


「あっ」


 忘れ物を思い出したかのように、芽唯の声がこぼれた。


「そういえば、俊翔に話したいことがあったんだよね」


「なんだよ」

 

 俊翔の頭の中はデジャヴのことで一杯だったので、ぶっきらぼうに答える。


「この土日にさ。家の整理をしてたんだ」


 俊翔はデジャヴ視で見た光景を思い出す。

 

(恥ずかしい写真を俺に見せようとしてきてスマホの取り合いになったんだよな。

 それで──たしか、事の発端は芽唯が「面白いモノを見つけた」って言ってきて……)

 

「そこでアルバムを見つけたんだ。懐かしいなぁって見返してたんだよね」


「それで?」


 芽唯の言葉にほとんど無意識で反応を返す。


「面白いモノを見つけたんだよね」


 "デジャヴ"


 実際には一度も体験したことがないはずなのに、すでにどこかで体験したように感じる現象。

 デジャヴ視によって、意図的にデジャヴを引き起こすことが出来た。


「面白いモノ?」


 ゆっくりと用意していた答えを返す。


「クヒヒッ。俊翔の恥ずかしい写真だよ」


 デジャヴ視で聞いたあの時の言葉が返ってきた。


 このままいけば、スマホの取り合いになり芽唯のスマホカバーが割れる。

 俊翔は未来を変えるため、デジャヴを抗う。


「奇遇だな。俺も芽唯の恥ずかしい写真を持ってるんだよね」


「ふぇっ!?」


 もちろんブラフだ。だが、効果はてきめんらしい。

 芽唯はあわあわと口をぱくぱくさせていた。


「な、あ……う、嘘だよね?」


「嘘じゃねぇよ。ここに芽唯の恥ずかしい写真がしっかりと入ってるからな」


 俊翔は芽唯にわざとらしくスマホを見せびらかす。

 芽唯のスマホはまだ外に出されていなかった。


 形成逆転だ。

 計画通り、俊翔と芽唯の立場が入れ替わった。


「そういえば、真人と佐々木さんにはこの写真見せてなかったよなぁ~。

 明日見せよっかなぁ~。あっ、もう今から送っちゃおうかなぁ~」

 

 とにかく挑発し煽り倒した。

 目的はもちろん、芽唯とスマホの取り合いになるためだ。


「や、やめて!」


 芽唯がとびかかる。

 俊翔のスマホを取り上げるために。


「よっと」


 俊翔は華麗にかわす。

 

(これじゃダメだ)


 今の行動でスマホを落とすのはわざとらしすぎる。

 自然に、デジャヴ視と全く同じ状況にするために、俊翔は一度避けた。


「いいのか芽唯? 早くしないと本当に送っちゃうぞ?」


 俊翔はスマホを横に振りさらに煽る。


「ダメ!」

  

 芽唯の腕が勢いよく伸びてきた。


(ここだ!!)


 俊翔はあえて避けずに、そのまま受け入れた。

 芽唯の手がスマホに当たり、俊翔の手から零れ落ちる。


 スマホは重力に従い地面に向かってスピードを速めていく。

 コンクリートと接触し、鈍い音が響く。

 

「あっ……」


 芽唯から不安げな声が漏れ出た。


 俊翔は割れたスマホをゆっくりと拾い上げる。

 スマホの電源を付ける。動作に問題はない。

 スマホカバーだけが割れた状態であった。


「ごめん、俊翔」


 声色から申し訳ないという気持ちがひしひしと伝わってくる。


 俊翔は何も答えずに、視線を腕時計の方へ向けた。

 1月23日月曜日16時19分。

 

(……よし)


 芽唯の気持ちとは裏腹に、俊翔は達成感に浸っていた。


「……大丈夫?」


 芽唯が恐る恐る聞いてきた。

 自分のせいで割れたと思い、負い目を感じていた。

 

「カバーだけ割れたけど後は問題ないよ」


 あっけらかんとした様子で俊翔は話す。

 芽唯に余計な心配をさせたくないという思いもあるが、そもそも分かっていた未来なのでダメージは小さい。

 むしろ、思い通りにことが進んだので嬉しいという気持ちの方が強かった。


 デジャヴ視のおかげで未来を変えられた。

 デジャヴ視のおかげで芽唯を助けることが出来た。

 俊翔にとって、それは喜ばしいことだった。


 デジャヴ視の代償のルールによって、芽唯のスマホカバーが割れるという世界から、俊翔のスマホカバーが割れるという世界に変えることが出来る。

 ちょっとした行動で世界は簡単に変えられるんだ。


「……ごめんね俊翔」

 

 芽唯が謝罪する。

 からかったり、冗談を言う性格だが、こういう時の芽唯は素直だ。 

 

「大丈夫大丈夫。カバー変えよっかな、って考えてたところだから。

 むしろ割れてちょうど良かったよ」


 嘘を交えながら芽唯を元気づける。

 芽唯に悲しまないように身代わりになったのに、これで芽唯が傷ついたら元も子もない。

 

「本当?」


「ああ。だから気にすんなって」


「分かった。もう気にしない」

 

 芽唯の声色が明るく、もとの表情に戻った。

 「良かった」と俊翔は安堵した。


「それよりさ──聞きたいことがあるんだけど」


「ん?」


 俊翔は話を切り出す。

 ここ数日、ずっと気になっていたことについて。


「芽唯が見せようとしてきた恥ずかしい写真ってなんだったんだ?」


「えっとね~」


 芽唯はスマホを取り出して操作する。


 ずっと考えたが、心当たりなんてなく。モヤモヤとした気持ちのまま過ごすことになった。

 そのモヤモヤがいま解消されようとしていた。


「これだよ」


 差し出しされたスマホを受け取る。


 画面には目を真っ赤にさせながら泣いている男の子と、その男の子の頭を撫でている女の子の2人が写っていた。

 2人は体操服を着ており赤白帽子をかぶっている。

 年齢は小学生ぐらいで、周りにはテントと着順の旗が見える。


「これって──」


 俊翔の封印された記憶が呼び起こされる。

 

「そう、小6の頃の運動会の写真だよ」


 写真に写っている少年と少女は俊翔と芽唯の2人だった。

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