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プロローグ
私には少し厄介な力がある。
自分ではコントロールなど出来ない本当に厄介な力。
そしてその力には波があり、嫌と言う程に強くなる時、弱まって殆ど役に立たない時。
それは俗に言う第六感、シックスセンスと呼ばれるモノ。
幼い頃にその力が出ていた時は、本当に怖かった。
周囲には見えていないモノが自分にだけ見える。
友達に言っても信じてもらえず、嘘吐き呼ばわりされる事もあった。
そしてそれは多感な時期に最盛期を迎えたのかもしれない。
その力のせいで、賃貸の物件探しや、中古車を買う友人などは私によく「付いて来てくれ」と言っていた。
大人になるにつれてその力は不安定さを増し、弱まって行った。
しかし、またこのところ、その力が少しずつだが強くなってきている。
コントロール出来ない、本当に厄介な力だ。
しかし、それを完璧なまでに使いこなす友人がいた。
F…。
彼は恐ろしい程にその力を使いこなしていた。
この物語は、私とその友人Fの物語である。