【読み切り】猫カフェの猫の日常。
ここはとある猫カフェ。血統書が付いてたり付いてなかったりする猫たちが、人間を喜ばせ癒す場所。
まぁそれは、人間から見た話。
我にとっては生活の場所。そして人間どもが我を平伏し崇め、ご機嫌を取り撫でさせろと懇願し食べ物を献上する場所だ。
無論、我は寛大なので人間どもにそれを許してやっている。まぁ、気が向いた時だけだが。
広く暖かく食うに困らない、そんなそこそこ快適な我が住処ではあるが完璧とは言い難い。残念ながら、我だけの場所ではないのだ。他にも猫がいる。長い毛が鬱陶しいミカンや、黒々として物陰で出会うとちょっとびっくりしてしまう黒豆などだ。
……言っておくが、ちょっとびっくりするだけだぞ?断じてガチでびびったりなどしない!
ま、まぁ寛大な我は、そんな奴らの事もこの場に置いてやっているのだがな!
今はごはんタイム。等間隔に置かれた皿に盛られたカリカリを食べる時間だ。スタッフどもが真面目に仕事をしているので、他の猫に横取りされる心配はない。
まぁ、万が一我のごはんに手を出そうなどという愚か猫がいたら、稲妻の如き猫パンチをお見舞いしてやるだけだがな!
食事が終わればくつろぎタイム。
最近は人間どもの手の届かないキャットタワーに上って一休みするのがお気に入りだ。
たまにくつろぎ中の我に慈悲を乞う人間がいるが、うるさそうに尻尾を振ってひと睨みしてやれば手を引っ込める。躾がなっていてよき。
温もりが欲しい時は我の方から行くゆえ、それまで待つがよい。
一休みしたら、余剰のエネルギーで体が疼くというもの。部屋の中を練り歩く。
おい、どうした人間ども。我は遊びたいぞ?
猫じゃらしを振っている奴がおるが、全くなっておらん。猫じゃらしの振り方というものを全くわかっておらん。三年修行して出直すがよい。あ、だが修行中もオヤツを貢ぎに来てよいぞ?この前のアレはなかなかであった。
こいつも……下手くそだな。そんな振り方で我が満足すると思ったか。低く見られたものよの。
お、なかなかに良い紐の振り方をするではないか。よしよし、遊んでやろ……クッ……他の猫がっ……ええい、そんな事で諦める我ではない!とりゃー!
にゃっ……我が遊ぶのだ。控えよ下郎!カナダに帰れ毛無しのツンツルテンが!我こそは、偉大なるペルシアと甚大なるロシアと広大なるアメリカの血を引きし猫なるぞ!
おい人間、我と遊べ!遊ぶのだ!
クッ……短足が邪魔をするな!
歴史しか誇る所のない斑も引っ込んでおれ!
我が!我が遊ぶのだー!
ふぅ………………今日はこのくらいにしておいてやろう。何しろ我は寛大だからな。
さて、動いたら小腹が減ったの。
お、あそこに猫溜まりができているではないか。にゃーにゃーと鳴いて品のない。そんなにオヤツが欲しいのか?我もだ。だからそこを退くがよい。
こら、それは我に献上されたものだ。お主は先ほども食べたであろう?
クッ……また……なんと卑怯な!
おい、人間、ボンヤリするな!また横取りされたではないか!「可愛いー!」ではないわ!
そ、れ、は、我、の、だ!
ふん、結局3つしか食えなかったではないか全く…………やはりオヤツは美味だのう。
む?この曲は……
そうか、今日もそんな時間か。だんだん人間が減って行くのう。己の巣に帰るのであろう。
よいよい、帰るがよい。我は気にせん。寛大だからの……。だが……
……また、我に会いに来るのだぞ?
に、にゃんにゃんみゃー……(2月23日)ギリセーフ!