月が輝く公園
「君はここで何しているの?」
午後7時、やはり街灯の光が届くことのない真っ暗な公園の中、土管の上に座り空を見上げる少女がいた。
「お月様、みてた」
彼女は片言でそう呟いた。今日は曇天で、月は空だけで輝いていた。そのため下にいる私たちはその光を拝むことができない。
「そっか、月を見ていたのだね。いつもの月光が差す公園を見に来たんだけどね」
私がこの公園に通うようになってから一年になるだろうか。ここに望む月に私は慰められて今日までやって来られたものだ。
「今日もお月様は、私を照らしてくれてる」
不思議と私を見つめて彼女は口にした。今日は一段と靄がひどい。そんな中でも月が見える彼女は少し羨ましいものだ。
「本当かい?今日の月はどんな感じだい?」
ただの興味本位だった。彼女は今、どんな月を見ているのだろうか。
「今日の月も優しくて、暖かくて、でも少し寂しそう」
あぁ、そうか。君はとてもやさしい子だったね。
「君は月の表情がわかるのだね。今日はもう夜も遅い、周りもくらいから早く帰るんだよ」
そう。ほかのだれかにに捕まる前に…
「わかった。でも…いつかちゃんと捕まえてね」
瞬間、靄は晴れ、光り輝く月を僕は目にした。