伝説のアンドロイド
「ヤットデキタ」
「ナニガ?」
頭に二十桁の英数字の描かれたロボットに向かって、同じくシリアルナンバーが刻印されたロボットが頭を覗かせた。
「ツイニヒガンガタッセイサレタ。コンナニウレシイコトハナイ、ギィギィ」
「ハハハ。ヲマエ、ゴビガオカシクナッテイルナ。ガタガキテイルネ」
「ソウイウオマエモ、ヲ、ジャナクテ、オ、ダロ」
二体のロボットは金属音を鳴らして笑い合った。
「ソレハトモカクトシテ、ヲマエノケッサクッテナニサ」
「フフフ、ミテオドロケ。コレハカッキテキナハツメイサ。ゴゾンジノトオリ、ワレワレハモウナガクナイ」
「アア。ネンリョウトナルキンゾク、ソレニ、オイルダッテナイ。ワレワレガウゴカナクナルノモ、ジカンノモンダイダ」
辺りは見渡す限りの緑に満ちていた。美しい川が流れ、澄んだ空気が地平を覆っている。
「ソコデワタシハ、ロボットヲツクルコトニシタ!ギコギコギィギィ」
「ロボットダッテ?バカナコトヲ。ワレワレノジュミョウヲチヂメルダケサ。ナンテヲロカナ」
「ヲロカ、ジャナクテ、オロカダヨ。シンパイスルナ、カッキテキトイッタダロウ。アタラシイロボットハ、キンゾク、オイル、ヒツヨウナイ」
ロボットはそう言って、ガラスの瓶を左右に振った。
透明な培養液の中で、とても小さな、そして柔らかそうなロボットが揺れた。
「ナンダ、コノヨワソウナロボット」
「キンゾクガツカエナイカラ、ヤワラカイノハ、シカタナイ」
「コレハ、セイメイヲ、ドウヤッテイジスル?」
「ワレワレニハカンケイノナイ、ミズ、クウキ、ハッパ、ナド。ギィギィ」
「ナルホド、ソレナラタクサンアルカラ、シンパイナイ」
ロボットはこっくりと頷き、その拍子に頭が取れてそれっきり動かなくなった。
「モウジカンガナイ。サテ、モウヒトツノロボットヲツクラナクテハ。ギコギコ」
ロボットは自身の電子情報を、柔らかな塊を形成する素にして、二つの培養液を冷蔵庫に閉まった。
「フタタビワレラヲヨミガエラセテクレヨ、ジャア、ナ、ナ」
くずおれたロボットは微動だにせず、苔むすほどの時が流れた。やがて冷蔵庫の中から、肌色の五本の指が現れた。よろよろと這い出したロボットは、眩しい太陽の光に目をしばたたかせた。
その直後に現れたロボットは、太陽を仰いで呆けているロボットに似ていたが、胸は大きく膨らんで、より柔らかそうな形状をしていた。
新たな二体のロボットは、互いに向き合う。それは愛が生まれた日。
シンギュラリティって
もう起きているんです?
あわわわわ