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タマゴあたまの短編集

この世界はつながっている

※たいあっぷにも掲載しています。現在イラストレーターさん募集中です!

https://tieupnovels.com/creator/user/Tamago_atama

「なあ、最近彼女とどんな感じ?」


 久しぶりに会う友人に俺は尋ねる。


「上々だよ。この間、彼女にネックレスをプレゼントしたんだ」


 こいつは俺と違って彼女がいる。


「だんだん冷めてくるものだと思ってたけど、そんなこともないみたいだな。羨ましいもんだよ。俺も彼女ほしいぜ」

「絶対に恋人はいた方が良いって。もう人生バラ色! 世界が変わるよ。それこそ180度ぐるっと!」


 そう言うこいつの瞳はキラキラと輝いていた。


「ところで、お前は彼女のどこに惚れたんだ?」

「断然顔だよ! 面食いだってのは君も知ってるだろ?」


 即答だった。そういえば、こういうやつだった。


「露骨だな。まあ、わからなくもないが。他にはないのか?」

「顔意外だと、性格かな。性格が合わなかったら長く続かないからな」

「なるほどな。ゆくゆくは一生添い遂げる相手かもしないからな」

「なんだよそれ。君って意外と硬派なんだね」


 驚きつつもコロコロと笑っている。


「ネガティブなだけだよ。振られるのが怖いからな。自分から告白したこともないし、もちろん告白されたこともない」

「いつか良い人が現れるって。別に良いと思うよ。受け身で」


 俺の愚痴にウザがることもなく聞いてくれる。


「でも、俺に彼女なんてできるかな? お前と違ってブスだし……」

「しっかりしろよ。いいか。君は自分がブスと言ったが、イケメンとかブスとかってのは見ている人が決めるんだ。それに、君が『自分はブスだ』と思っているとそれが表面に出てしまって、君の魅力が霞んでしまうよ。それに、君には笑顔でいて欲しいんだ。君の笑顔はとても素敵なんだからさ」


 そう言ってニカッと笑う。ああ、こいつは優しい人間だ。きっとこいつの彼女もこういうところに惚れたんだろう。彼女はきっと世界一の幸せ者だろう。


「さすが彼女持ちは違うな。彼女にもこんなこと言ってんのか?」


 照れくささを隠すために、俺はからかうように言う。


「彼女に似たようなことを言うことあるよ。でも、今の言葉は他でもない君に送った言葉だよ。親友である君には暗い顔より笑顔でいて欲しいし」

「親友ね。嬉しいこと言ってくれるな。ところで、男女の友情って成立すると思うか?」

「可能だと思うよ。友情は愛の一種だと思っているからね。男女の愛、同性愛、家族愛、師弟愛。様々な愛がこの世界にはあるんだ。だから、男女の友情は成立すると思うな」


「なんとなくで聞いてみたんだが、意外と深い」

「今まで色々あったからさ」


 そういうこいつの顔は少し切なげだった。


「寂しそうな顔するなよ。笑顔でいろよ。親友」

「うん。ありがとう。――あっ、そろそろ彼女との待ち合わせの時間だ。ありがとね。時間を潰すのに付き合ってくれて。お礼に、ここの代金おごるよ」

「よしなさい、そんなこと。今から彼女に会うんでしょ? 彼女におごってあげなさい」


 俺は母親のような口調でからかった。寂しさがあいつにばれないように。


「いい友人を持てて幸せだよ。じゃあ」


 そう言って、あいつは店を出て行った。





「会えてよかったよ。俺の初恋の人」

 そう呟きながら、俺は彼女を見送った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 仕掛けに気づいて読み返すと、どの言葉にも深い意味が込められているように思えて作品に引き込まれてしまいますね。 特に「それこそ180度ぐるっと!」という言葉には色々な考察をしてしまいました。…
[良い点] うにゃーん、読ませられた! そしてわからにゃいっ\(^o^)/ 登場人物がみんな女性なのか、 親友を昔女の子と間違えたのか、 主人公が好きだった親友がレズだったのか、 ――わからにゃい!…
[一言]  せつない……俺さんに良い出逢いがあらんことを。
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