010 隣りのJKとのお買い物
「お腹も膨れたし、晩御飯の買い出しに行こうか。」
「はい!行きましょう。」
嬉しそうに、桃花は翔と肩を並べる。
ハーバーランド近くにある、食料品売り場に二人は入った。翔がカートを押し、桃花は材料の書いたメモを見ながらカゴに入れていく。
「今日は何を作るんだ?」
前回は翔が作りたいものを勝手に買ってきたのだが、今回は桃花がメニューを考え、食材を選んだ。
「そうですね。予想してみてください。」
買い物かごの中には、玉ねぎ、パン粉が入っている。そして桃花はひき肉を手に取った。
「もしかして、ハンバーグ?」
「正解です。和風と洋風どっちが好きですか?」
「僕はどちらかというと和風の方が好きかな。」
「っじゃあ大根おろしとオオバを添えて、和風ハンバーグにしましょうか。」
「いいね。ハンバーグなんて、自分で作ったことないや。」
「作り方は私が教えますから、一緒に頑張りましょう。」
「頼りにしてるよ。こうやって誰かと一緒に買い物するのも楽しいね。」
「そうですね。なんか…、なんというか…。」
桃花は「なんか…カップルみたいですね。」という言葉が脳内でくるくる回っていたのだが、それを口にするには、まだ彼女の勇気と自信は少し足りなかった。
「一緒に買い物するって、なんか…家族みたいだね。」
もじもじしている桃花に、翔は平然と言い放った。
彼の意図したところは、妹と一緒に買い物をしているようだ、というニュアンスだった。
しかし、桃花の脳内では、愛の強さ=カップル<夫婦<家族という尺度であり、翔の言葉から二人の結婚を想像した彼女は、大いに狼狽した。
「えっ、いや…いきなりそれはっ…。嬉しいですけどっ、もう少し段階があるのでは…。」
真っ赤になりながら、桃花はもじもじしている。
「うん?…段階?そうか、確かにまだあって間もないからな。家族と例えたのはちょっといきなりすぎたね。」
翔はいまいち何のことかわからなかったが、少し馴れ馴れしかったのかなと反省した。
会計を済まし、スーパーから外に出る。
神戸港から吹く浜風とともに、翔の持つ食材の詰まったビニル袋がこすれる音が鳴る。太陽の光の反射で、ポートタワー近くの海面がキラキラ光っている。
家路に着いたあと、それぞれの部屋に一旦荷物を置いて、夕方ごろに翔の部屋に集合することになった。
※読んでいただける人が増えてきたので、今後の恋愛の展開等についてコメントでご意見いただけると嬉しいです。(誰と誰をくっつけろ、どのタイミングでくっつけろなど、お色気は控えろ、いやもっとやれだとか……こんなイベントやれ、こんな料理作れ、とか……)
邪道かもしれませんが、天の声のみなさま(読者様は神様)が喜ぶ展開になるよう、参考にしたいと思います。