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ある馬車での会話

今回はいつもとテイストを変えてます。









おい、嬢ちゃん。どうしたんだ? さっきからこっちをチラチラ見て。



……もしかして、この防具か。どうだ? キラキラしてて格好良いだろ?

これはな、カートライト鋼っていう珍しい金属で作られてるんだ。なんなら触ってみるか?



別に良い、か。



ん?俺はまだ尻の青い冒険者だよ、この防具を纏うにはちょいと不釣り合いかもしれねぇけどな。

ホラ、これが俺が冒険者っていう事を表す証明書カード。薄白級、下から三段目の階級になるな。



……これさ、薄白って言ってるが、明らかに灰色だよな。白寄りってだけで。

そう思うだろ?



だよな?こんなの薄白じゃなくて、灰っていう名前にすればいいのに。



…………。



あ、そういえば。

嬢ちゃん、今から王都に向かうんだろ?俺もなんだ。これも何かの縁だ。折角だし、世間話でもしないか?



オッケー、ありがとう。

それじゃあ、お前の名前は何て言うんだ?



……へぇ、----って言うのか。

俺の名前はドメイル、ドメイル・エスパダだ。こんな形でも、冒険者やってる身だ。



あ、この袋が何か気になるのか?

いやぁ、子供には見せられねぇ物が詰まってるよ。この中には。



おいおい、何だその物欲しげな視線は。

そんな事しても教えてやらねぇよ、俺は。



………仕方無いな。



あー……冒険者ってのはな、依頼を受けると、キチンと依頼を完遂したっていう証拠を残さないといけないっていう規則があってな。

俺は王都で辺境の土地に出た『悪魔(デーモン)』の掃討の依頼を受けて、ここまで来たんだ。

ここから先は……もう解るだろ?



そう。剥ぎ取った悪魔の角やら尻尾やらが入ってるんだ。

これを聞いても見たいと思うか?



だろ?俺がお前みたいな子供なら、絶対に見ないだろうな。



……………冒険者について教えて?

構わんぜ、俺は。



おう。

それじゃあ、まず始めに冒険者ってのは十二階級に分かれてるんだ。

下から順に、薄黒、濃黒、薄白、濃白、薄黄、濃黄、薄赤、濃赤、薄青、濃青、薄紫、濃紫っていう感じに六色で区別されてる。

これは昔ガンダーラ帝国黎明期、その時の帝王に従っていた六人の大臣が好んで纏っていた服装から来たらしい。



まず黒等級は駆け出し、直接街の外には出ない、日雇いの警護や貴族の屋敷の警備とかの依頼が来るな。

偶に外に出る依頼もあるが、全部王都周辺で終わる物だ。

白等級から更に遠くに行って、小型で簡単に倒せる様な怪物の退治の依頼を受けれるようになる。弱いからって、束になられると苦戦して、最悪命を落とす。

黄等級になって、やっと本格的に『冒険者』のイメージ通りの任務、要するに中型の怪物の討伐やら危険な探索とかの依頼が出来る。

あー……ここまで話に付いて来れてるか?



よし、それなら続けるぞ。

赤等級から上はそれこそ、腕利きの部類に入るな。当然数も少なくなって、ギルドでも重宝される様になる。

青等級は地方で十数人程度しか居ない、冒険者の中でもエリートだ。ここまで来ると、龍やらの大型と対峙出来る。

そして最高級の紫等級だが、これはもう、国が抱えてる伝説に匹敵する程の実力者しか入れない。それか、勇者か。



え、俺はまだ薄白級だな。

まぁ、他の冒険者に比べたら凄まじいスピード昇格らしいけどな。



何があったのって言われたって、なんか依頼受けて王都から南側の平原に行ったら討伐目的の溶粘体(スライム)の他に変な怪物が何体か居て、ソイツ等も纏めて斬り殺したら、なんかそれがかなり上級の奴だったみたいで……それを倒した事が評価されて、一気に昇格出来たんだ。



そう、だな。冒険者の階級が過去の大臣に倣っているのは、多分高名な大臣の方々の様に清く正しくあれ、みたいな事を表してるんじゃないか?詳しくは知らんが。



あぁそうだ。この国は多いんだ、そういうのが。

憲兵団のシンボルの白梅も、確かその大臣と同時期に活躍した剣士から取ったらしいしな。確か名前は結構長ったるいヤツだ。えっと…………忘れちまった。言わなくて良いか?



ま、まぁ話を戻すぞ。

冒険者ってのはギルドが斡旋する、民間や国からの依頼を受けて、下等怪物の間引きや危険生物の排除とかを主にしている。

冒険者はそりゃ勿論、命を落とす危険も付き纏うが、その恐怖が霞む程稼げる職業でもある。

波に乗れれば、の話だがな。



兎にも角にも、冒険者は依頼を受けて、危険を冒しながらも金を稼ぐ、謂わば傭兵みてぇな物だな。

だからこそ一般人から少なからず偏見を持たれてるのかもな。野蛮で暴力的だって。



いや、俺はまだそれを感じた事は無ぇな。

極端な自然主義者やら動物博愛主義者じゃねぇ限り、冒険者は絶対必要な職業っていう事を理解してるからな。

ほら、説明はこのくらいだ。解ったか?



よし、それなら良かった。



………え、今度は冒険者の活動範囲について知りたいって?



よし、教えてやるよ。

冒険者はこの大陸を股に掛けて活動する。

東は広大な砂漠が広がるアラクア地方が広がってて、

西は険しい山岳地帯のマテュート地方がある。

南は珍しい生態系が形成されてる列島のデフララ地方で、

北には西部から続くセリーバス山脈を中心とした高山地帯のナヌク地方。

そして中央部、俺達が今向かってる王都があるパラキュレ地方っていう感じだな。



ハハハ、やっぱり覚え難いか?

冒険者稼業をしているとな、必然的に都市名も覚えないといけないんだが…かなり辛い。

まぁ、俺がガキの頃から碌に勉強もせずに遊び回ってたからっていう事もあるかもしれねぇけどな。



……なぁ、少し思ったんだけどよ。

お前、何でそんなに深くフードを被ってんだ?

もう冬も終わる、じきに気温も上がってくるだろ。

旅装束とはいえ、少し厚過ぎると思うけどな、俺は。



あ、そうか。

余計なお世話だったな、スマン。忘れてくれ。



って、そんな謝んなよ! 俺が勝手に言い出しただけだし。だからそう頭下げんな。



……そう、お前が謝る必要は無いんだ。元は俺の無遠慮が原因だからな。



よし、それじゃあこのお詫びをさせてくれないか?

どうせお前も王都まで行くんだろ? 俺も向かうのは一緒だからさ、何か飯でも奢ってやるよ。

あ、それか宿の伝手が無ければ俺の家に泊まっても良いぜ? 狭いけど、充分な食住は保証するぜ。



あぁ、勿論良いぜ。

安心しな、俺はロリコンじゃねぇし、お前の身包み引っ剥がして痛め付ける様な性癖も無ぇからな。



……良い返事だ。

生憎金は有り余ってるからよ、お前みてぇなガキ一人食わせる事も易いモンよ。

あっ、そういえばお前、王都は初めてか?



そうか、初めてなんだな。

それなら折角だし、明日俺が王都を案内してやろうか?

俺はこう見えても、王都には六年間住んでんだ。結構詳しい方だぜ?



よし、それなら話は早いな。

じゃあ最初に何処行きたい?



え、憲兵団本部?



いや、俺の知り合いがそこに居るんだ、多分な。冒険者としての生活が安定してきたら顔を出そうって思ってたんだよ。居るっていう確信は無ぇがな、ハハハ。

で、どうして行きたいんだ?



会いたい人が居るのか。



憲兵団団長、だと?

お前、団長の親戚か何かか?それとも、親しい人間から出された使者か。



違うのか。

それならどうし……いや、理由なんかはどうでもいいか。

お前みてぇな子供が単身で行ったって、どうせ門前払いされるのがオチだからな。そういう点、お前、案外ラッキーだったな。

俺が付き添えば、何とか掛け合ってはくれるだろうし。まぁ、その先まで漕ぎ着けれるかは謎だが。

だが、俺に出来る事があれば言ってくれ。誠意を持って対応しよう。



ハハハ、別に構わないぜ。

俺みてぇな底辺でも、人の役に立てるって事は嬉しいからな。

それじゃあ、これから宜しくな、----。


会話だけで話繋げるのがこれ程難しいとは……。

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