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鳴き響む  作者: 水戸けい
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はっと何かに気付いた宗平が高い声を上げた。

 又七とは別れ、のんびりと中央に集まる人々の間に歩みを入れて、一行は目的の地を踏んだ。中央に平城を構え堀をめぐらし、その周囲に武家や公家などの家が並び、また堀があって平民の暮らす街となる。そこもきれいに区画分けをされ、職人は職人町、商家は商家町と住み分けがなされていた。その間をまっすぐに、堀にかかる橋に向かって広がる大道の左右は、旅人相手の商売店や宿、行商人が開く市の区画から始まり、だんだんに身分のあるもの達を相手にする商店の区画へと移り変わっていく。

 迷いなく武家や公家を相手にしている商店の区画に進む孝明の脇を、宗平が肘でつついた。

「なんだ」

「なんだ……って――ここは、武家や公家を相手にする店ばっかが並んでいる所だぞ。こんなところに来て、どうすんだよ。今まで聞かなかったけどよ、汀の村を助けるって、どうやって助けるつもりなんだ」

 孝明がぴたりと歩みを止めて、手綱を引かれる焔の足が止まり、背に乗っていた汀が首をかしげて二人を見た。

「宗平」

「なんだよ」

「阿久津家の三男坊なら、このあたりに顔が利く店もあるだろう。……旅の埃を払いたいんだが」

 にこりと、何かの見本のように笑った孝明にぽかんとして瞬き、はっと何かに気付いた宗平が高い声を上げた。

「まさか、おれが阿久津家の三男坊だったから用心棒に雇うと言いだしたんじゃないだろうな」

 にこにこと笑ったままの孝明は、何も言わない。手の平を額に当てて盛大に息を吐き出した宗平は、やけになったようなぶっきらぼうな態ですたすたと歩き出した。その背に、今度は心底面白げに笑った孝明が歩きだし、焔も進み汀が揺られて着いて行く。迷うそぶりも無く宗平が進んで行ったのは、大通りを二つばかり奥に入ったところにある、簡素に見えるが細やかな部分に趣向を凝らした、大きな屋敷のような店だった。

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