表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鳴き響む  作者: 水戸けい
96/114

「用心棒としての、初仕事ってぇワケだな」

 なつかしげに汀を通して過去を見る又七の顔に、つられたように裡にあるものに意識を向けかけた宗平の耳が、複数の人の近づく音を拾った。思わず孝明を見れば、彼もまた気付いたようで硬い顔をして頷いてくる。二人の表情が引き締まったことに気付いた又七が、思い浮かんだものに恐怖を浮かべ、汀はきょとんと三人の顔を見まわした。

「じっとしてろ」

 小さく言った宗平が、刀を手にして立ち上がる。怯えた顔の又七に笑いかけながら、孝明は宗平に声をかけた。

「お手並みを、拝見させてもらおう」

「用心棒としての、初仕事ってぇワケだな」

 近づいてくる足音に向けて警戒するでも無く体を開き、待ち受ける宗平の前に五人の男が林の中から姿を現した。一見して賊とわかる風体をしている男たちに、宗平は親しげな声をかける。

「野営の仲間に加わるんなら、歓迎するぜ」

 男たち――賊は、顔を見合わせ宗平の全身を眺め、怯える又七と身を固くする汀、彼らを気にするふうも無くたき火の様子を気にする孝明を見て、自分たちの相手が出来るのは宗平だけだと判じた。下卑た笑いを顔にはりつけ、頭目らしい男が返答した。

「たき火よりも、アンタらの持っているモンで懐を温めさせてもらいてぇんだよ」

「そっちの兄ちゃんとガキは良い値が付きそうだし、良い出会いにさせてもらえそうだぜ」

 男たちがそれぞれに得物を構えて扇状に広がっていく。左右に目だけを動かして男たちの動きを確認しながら、宗平は気負うでもなく鯉口を切った。

じり、じり……と男たちが距離を詰めてくる。宗平は視線を向けながら緊張をする様子も無く、仕掛けてくるのを待った。

「へへ……っらぁああ!」

 うすら笑いを浮かべた左右の男が宗平を挟む形に移動したかと思うと、同時に地を蹴り飛び掛ってきた。ふっと軽く息を吐き出した宗平は、左の男の顎を鞘の尻突き、右の男の鼻を柄の先打ちながら、刀を抜いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ