「俺が、会いに行っていた相手だ」
「腕に、自信があるようだな」
「一応、孝明に用心棒として雇われている身なんでね」
「用心棒」
それが、さも面白い単語であるかのように繰り返した長親は、再び「用心棒」と繰り返しながら孝明に顔を向ける。
「なるほど、そうか――そうだな。孝明のような細身の優男と、もう一人の連れは、この子どもか…………そうか、それならば用心棒は必要だな」
笑い声を上げる長親に、頭の上に手を置かれぐりぐりと乱暴に撫でられて、汀は目を丸くする。けれど不快は感じないらしく、そのまま逃れようともしない汀の姿に、宗平は機嫌を損ねながらも警戒を解いた。
「そう睨むな、孝明――――数年ぶりに会った私の誘いを断るほどの連れというものに、興味を持っても仕方が無いだろう」
楽しげな長親に、諦めの息を吐き出した孝明が眉間にしわを寄せたまま、宗平に顔を向けた。
「俺が、会いに行っていた相手だ」
「仕事の相手か」
宗平の言葉が、またも面白かったらしく長親は大笑する。きょとんとする汀と憮然とする宗平、頭痛を堪えているような孝明を順番に見た長親が、親しげに両腕を広げて宗平と孝明の肩を掴んだ。
「私は、長親という。何処に泊まっているんだ? 私も同じ宿に泊まらせてもらおう。――夕食を、是非に驕らせてくれ。数年ぶりに合った友とその連れ合いと、交友を深めたい」
断われることなどみじんも考えていない声音に、宗平は戸惑いながら、孝明は深いため息をつきながら、汀はよくわからないままに長親の申し出を受け入れた。
彼らが泊まっている宿の隣室を借りた長親は、すたすたと宿の奥に一人進んで主にあれこれと注文をしてきたらしい。上機嫌で孝明らが借りている部屋に入ってきて、すぐに酒宴の用意が出来るからなと当然のように窓際に座った。




