「おれも、刀が欲しい」
「汀も、刀が欲しいんだとよ」
意外そうな顔をして目を下した孝明に、汀が真面目な様子で言う。
「孝明も宗平も、腰に刀を帯びているだろう。おれも、仲間になりたい」
「仲間――刀を持たなくとも、仲間だろう」
ぶんぶんと首を振った汀が唇をとがらせて、強い目で孝明を見た。
「おれも、欲しい。村では、これっくらいの刀を使って山に入ったりしていたし、川魚を獲ってさばいたりしていたから、扱える」
「なんだ。汀は、そんなことをして過ごしていたのか」
宗平の問いかけに、汀はこっくり頷いた。そうして訴えるように願うように、孝明を見つめる。
「おれも、刀が欲しい」
きっぱりと言い切った汀に孝明が口を開く前に、横から声が差しはさまれた。
「そんなに欲しいのならば、私が買ってやろう」
はっとして三人が目を向ければ、先ほど孝明と小料理屋で話をしていた青年――長親が袖の中で両腕を組み、近所の散歩の途中という気楽な雰囲気で立っていた。
「誰だ、アンタ」
いぶかる宗平の目が、苦そうに顔を歪めた孝明を映す。
「知り合いか」
孝明に問えばあいまいな笑みを返されて、宗平は長親に顔を向けて問い直した。
「知り合いか」
「孝明とは、年端もいかぬ頃からの付き合いだ」
「へぇ――?」
納得しきれていない顔で、宗平は長親の全身を確かめる。風体は裕福な大店の遊び慣れた若旦那のようだが、纏っている空気がいささか剣呑にすぎると感じた。ごろつきと付き合って身についたようなものではない鋭さに、宗平がわずかに警戒を浮かべる。それに気づいた長親が、ちらりと宗平の腰のものに目を向けてから組んでいた腕をほどき、近づいた。




