表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鳴き響む  作者: 水戸けい
82/114

「詮索はするなと、いう事か」

 子ども扱いされたことに頬を膨らませた汀をなだめるように、小さな頭に大きな手のひらを軽く乗せた宗平は、その手を汀の背にすべらせて歩みを促し別の店へと移動した。

 ふくれたままの汀を連れて、そろそろ鞘の拵えを新調してみようかと宗平が思いかけた頃に、往来の向こうから孝明が歩いてくるのが見えた。

「おうい」

 長身で体躯のいい宗平は、人並みの中でもよく目立つ。すぐに気付いた孝明が、速度を上げることなく真っ直ぐにこちらに向かってくるのを、宗平は汀を肩に乗せて孝明が居るのを見つけたのだと教え見せながら待った。

「どこに行ってたんだ」

「仕事だ」

「仕事――?」

「ああ――この先の旅費を、稼がなければならないだろう」

「おれに寄越した分があれば、十分すぎると思うがな」

 探るように片目を(すが)めた宗平に、さらりとした目を向けて孝明が言う。

「何があるか、わからないだろう」

 真っ直ぐに見返してくる孝明の目を射抜くように見つめた宗平は、やがて諦めたように肩で息を吐き出して汀をおろした。

「詮索はするなと、いう事か」

「詮索をする必要も無いだろう」

「隠されれば、気にもなるさ」

「そういう宗平も、自分のことを詳しくは語らないだろう。初めて出会った日の 酒酔いのときに、ほろりとこぼした以外はな」

「聞かねぇじゃねぇか」

「聞いてもいいのか」

 そこで、宗平が言葉に詰まる。ふふんと頬を持ち上げた孝明に、手を上げ肩をすくめて見せた宗平は話題を変えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ