「ああ、畳の上は久しぶりだなぁ」
怒られるのではないとわかった汀は、縮めていた身をゆるめて宗平を見た。
「三つも食ったんなら、晩飯が食えなくなるんじゃないか?」
二つ目に手を伸ばしながらの宗平に、大丈夫だと汀が応える。
「練習をしていると、すぐに腹が減るからな」
胸元に手を添えて竜の根付に着物の上から触れた汀に、そうかそうかと言いながら大福を二口で食べてしまった宗平が、最後の一つもあっというまに食べ終えて、茶をすすってほっとした息を吐き出し、そのままごろりと横になった。
「ああ、畳の上は久しぶりだなぁ」
両手足をぐんと伸ばして背を反らした宗平が、ふうっと息を吐き出しながら瞼を下す。
「寝るのなら、きちんと布団に入ったほうがいいぞ」
顔を覗き込んできた汀の頭を、片目を開けた宗平が大きな手のひらで包んで自分の胸へ押し付けるように抱きしめる。
「汀が共に眠ったら、ほかほかとして温かいから、大丈夫だ」
「おれは、もう十分に寝たから、もう眠たくは無いぞ」
「そうか。そりゃあ残念だ」
「孝明と眠ったら、どうだ」
「孝明と? 孝明は、あまり温かくなさそうだなぁ」
戯れる二人は血のつながりがあるように自然で、ゆっくりと時間をかけて大福を食べ終えた孝明は、ほんのわずか眩しそうに目を細める。
「汀は、宗平が好きか」
孝明の問いに、うんと元気よく汀が答えた。
「そうか」
満足そうに口の端を持ち上げる孝明に、体を起した宗平が膝の上に汀を乗せながら言った。
「なんだ。自分よりもおれとのほうが汀と仲がよさそうなんで、嫉妬でもしたか」
「下らないことを」
「結構、寂しがりだろう。孝明は」




