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鳴き響む  作者: 水戸けい
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さっそく汀はそうすることにした。

 寝転がればふわふわとして心地のよさそうな雲が、ぽかりぽかりと空に浮かんでいる。それは、孝明ら一行と同じように、ゆったりのんびりと進んでいた。

うららかな昼下がり。最高の昼寝日和と言えそうな陽だまりの中を、汀は焔の上で眠りながら、宗平は時折あくびをしながら、孝明は――いつもと変わらぬ様相で、街道を進んでいる。

 無人の村の一件から、竜の根付はあまり人の目に触れてはいけないと汀は思ったらしく、懐にヒョウタンごと入れて歩くようになった。けれど、大きなヒョウタンを懐に押し込んで抱えていれば、大切なものを持っていると示しているようなものだぞと宗平に言われ、他に方法が思いつかない汀が唇を尖らせるのに、孝明は根付を首から下げられるようにし、そうして懐に隠せばいいと提案した。ヒョウタンは、腰に括り付けておけばいい。中には煌めく細石が入っているが、外から見ればただのヒョウタンでしか無いのだから、ヒョウタン自身は隠す必要も無いだろうと言われ、さっそく汀はそうすることにした。

 今は、根付は首飾りとなり、ヒョウタンの水は水場に出れば入れ替えられて、喉が渇けば飲むこともしていた。飲むときに細石がこぼれて落ちないように、孝明が一旦ヒョウタンを開け、中ほどに濾し布を着けた。首から下げるよりもずっと動きやすくなったと汀は喜び、竜の根付を簡単に隠せるし体の汚れを落とす時も眠るときも、ずっと肌身に着けていられると満悦だった。

 あれから、練習として人目をはばかり水を操ろうとする汀に呼応するように、竜の根付も目を光らせ手にした竜玉も輝かせるようになったが、井戸の水を吹き上げ大蛇のようにうねらせるほどの力は発揮できていない。けれども一度できたことにより自信のついた汀は、根気よく――それこそ精根果てて鍛錬が終わった後すぐに、意識を失うように眠ってしまうほど、以前にもまして熱心に取り組むようになった。

 そんな汀がその日その時に出来たことを自慢げに見せてくるのに、宗平は喜んで見せて汀を褒め、そうして必ず物言いたげな目を孝明に向けた。

「用事棒なんて、いらなかったんじゃなかったのか」

 昨夜、そんなことを汀が眠ってから宗平が言った。自分も眠ろうと横になった孝明は、二人の間で寝息を立てる汀の、ふっくらとした――けれど旅を始める前よりも大人びてきた頬を見つめ、目を伏せる。

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