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鳴き響む  作者: 水戸けい
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種も仕掛けもあるが、手妻とは違うな。

 宗平を仲間に加えた一行は、街道脇の森の中に布を敷き枝に布と縄をかけて簡易の寝床を作り野営をしていた。時折、孝明がヒョウタンの水に意識を向けているかと汀に問うのを疑問に思った宗平が、なぜヒョウタンの水を気にかけるのかという問いに、こういうことが出来るようになるためだ、と野営場所に選んだ水場で孝明が水を浮かべて見せ、宗平は感心したように、不思議そうに首を動かし、眺めまわす。

「汀には、これが出来る資質がある。その訓練のために、ヒョウタンの水を気に掛けさせている」

「手妻では、無いのか」

「種も仕掛けもあるが、手妻とは違うな。気脈というもののことは、武芸をたしなんでいるのならば、知っているだろう」

「ああ。居合切りの時に放つ気や、触れずに相手を圧倒させるようなものだろう」

「それを、うまく扱えばこういうことが出来る」

「ほぅん……?」

 呆れたような、納得したような、不思議がるような声を発し、首をかしげて眺める宗平に、連日の稽古でヒョウタンの尻をくるくると難なく回転させることが出来るまでになった汀が、自慢げに自分の腕を披露する。

「ヒョウタンの中の水を回して、ヒョウタンの尻を回しているのか。なるほど、なるほど」

 原理はわかるが仕組みが分からないらしい宗平は、感心しながらも眉間にしわを寄せている。持ち上げていた水を下した孝明が、こういうことが出来るから汀は孝明の事を法師だと思っているのだと言った。

「なるほど。法力のようなものか」

「法の力を使っている気はないが、まあ、そう思うのが納得をしやすいだろうな」

「便利そうな力だな。重い荷物でも、ひょいと軽く運べるんじゃないか。旅で必要な水も浮かせて運べば、水場を探す苦労も無いだろう」

「そんな便利なものじゃあ無い。眠っている間も維持をするということは、出来ないからな」

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