坊主の謎かけみたいだな。
「これは、良い品だな」
「だろう。――でも、じじさまは昔はもっと、いいものが作れたのにって言っていたんだ。こいつも、捨てられるところだったんだ」
「それは、もったいないな」
うん、と頷く汀はいつの間にか宗平の真横に座っている。どうやら宗平は子どもの警戒心を解くらしい。ぴったりと寄り添うように座る汀は、もっと幼ければ宗平の膝の上に座っていたのではないかと思うほどに、身を寄せていた。
「でも、じじさまは孝明にいらないって言ったんだ」
「手が動くようになるのを、か? そりゃまた、どうしてだろうなぁ」
同じように二人が首をかしげるのを眺めながら、孝明はゆるゆると酒を飲み進める。
「孝明は、出来ることが出来るようになって、出来ないことが出来るようになったからだって、言ってた」
「なんだそりゃあ――坊主の謎かけみたいだな。ああ、だから法師か」
宗平は孝明が法師だと言った汀の言葉を、信じていないらしい。そうかそうかと一人で納得している宗平を、汀が見上げる。そうしてそこから話が逸れて、宗平が今まで出会ったさまざまなことを、身振り手振りを交えて語りだし、きゃあきゃあと汀がはしゃぎながら受け止めた。そうしてはしゃいでいるうちに、汀がうつらうつらと舟をこぎ始める。
「そろそろ眠るか、汀」
眠気を懸命にこらえながら、汀が宗平の服を掴んで首を振る。
「また、起きたら話をしてやるから、もう休め」
とん、と自分の身に汀の体を引き寄せるように宗平が小さな肩を叩けば、そのまま横になった汀は寝息を立て始めた。
「ずいぶんと、懐いてしまったな」
しみじみと孝明が言うのに、子どもにはどうにも好かれる性分らしいと照れくさそうに宗平が言う。
「野放しに育てられたからな。近隣の悪ガキどもが集まっては、木登りだなんだと誘いに来るんだよ。三男坊は、暇だけはたっぷりとあるからな」




