表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鳴き響む  作者: 水戸けい
14/114

「そういうことを、おれはしたんだ」

「そうだ――そういうときに、使う場所によって力がこもる場所が変わる。普段はそれは、血と同じようにぐるぐると体の中を流れているが、力を込める時には、そこに気がこもる。気脈は誰でも持っているが、力と同じで強さは人によって違う」

 わかるか、と目で問えば汀は懸命に自分の中で咀嚼して、口に出した。

「走る時には足に力が入って、重いものを持つ時には腕に力が入って、でもそれは、大人と子どもじゃあ全然強さが違うっていう、こと?」

 少しだけ語尾に不安を滲ませる汀に、そういうことだと孝明が目を細めた。

「その、力がこもる場所を少し変えたり、死なない程度に止めたりすれば、どうなるだろう」

 問いかけに、唇を尖らせ眉間にしわを寄せて考える汀を、楽しそうに孝明が眺めながら湯の心地よさに息を吐き出した。

「――力が、抜ける?」

 自信なさげな汀の答えに大きく頷き、孝明は説明を再開した。

「そうだな。力が抜けたり、気を失ったり――」

 気を失うという言葉に、汀が「あっ」と声を上げる。

「気の流れが無くなるから、気を失う!」

 良いことに気付いたと満面に悦びを示す汀に、その通りだと答えた。

「そういうことを、おれはしたんだ」

「そっか――でも、そんなことが、どうして出来るの? 大人は、みんな出来るものなの?」

「訓練次第でできるようになりもするが、人にはそれぞれ得意な事と苦手な事があるだろう。得意でなければ、昼間のようなことは出来ないな」

「孝明は、訓練をして得意だったから、出来るようになったんだな」

「そうだな――得意だったから、出来るようになった」

「ぼくも、出来るようになるかな」

 その言葉に、孝明は目を糸のように細めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ