06 黒髪の少年は奴隷と買い物へ行く
ヒロインsideは飛ばして頂いでかまいません。
単的に言えば、主人公に恋をする。
です。
Sideカイト
ハクを連れて、今俺は服屋に居いる。
何でもこの服屋は貴族から庶民まで、幅広い層に人気があり、女性受けする服が数多くあるみたいだ。
・・・アラド氏に教えてもらった。
アラド氏は服を扱っているには扱っているが、どれも戦闘用であり普段着は売ってないとのこと。
普段着をお求めなら店を紹介しましょうと教えてもらった。
・・・アラド氏恐るべし。
「さてハク。とりあえずは普段着を3〜4着と貴族が着るようなドレス、下着を3〜4枚買っておいで。」
とりあえずはハクのを買おうか。
どうせ俺は見た目が良さそうなのを適当に買うだけだ。
「そんなにですか!?・・・あぁご主人様用ですね。でもドレス?」
小首をかしげて、驚いたり眉間にシワを寄せたりしている。
見ていてなかなか飽きない。
しかも可愛い。
「俺のじゃないよ。ハクのだよ。ちなみにドレスは貴族とかに呼ばれることがあるから、ハクについて来てもらう時に着させるんだよ。」
「貴族に呼ばれる?ご主人様は名のある冒険者様なのですか?」
・・・どうだろう?
未だに自分がやったことが理解できてないんだよなぁ。
いきなりランクSだって言われても実感出来ないし・・・。
ちなみに、今はこのナギルの街の領主に一週間後晩餐にお呼ばれしている。
ギルマスのおちゃんが仕組んだらしい。
・・・あとでお仕置きだな。
「まぁ、ね。そんなことより、自分にあう可愛い服を選んでおいで。」
「は、はい。でもよろしいのですか?奴隷に、貴族が着るような新品の仕立てた服をあてがうのは、あまりにも待遇が良すぎると思うのですが・・・。」
ありゃりゃ、ハクちゃん遠慮なんてせんでいいのよ?
「大丈夫だ、問題ない。もうハクは俺の家族だし、お金にも困ってないし・・・まぁ、今日はハクに出会った日でもあるからな、俺からのプレゼントってことで納得してくれ。」
我ながらひどい言い訳だ。
何分俺の人生は女の子との関わりがほとんどなかったからな。
対処の仕方がよくわからん。
「そ、そうですか・・・。家族(ボソッ」
とりあえずは納得してくれたご様子。
「とりあえず選んでまいります。」
軽く会釈して、ハクは店の奥へと入っていった。
俺はハクが帰ってくるまで暇なので、店中を見回すことにした。
店の雰囲気は、地球で言うところのデパートの服売り場に近い。
まぁ、レンガ2階建てっていうのが大きく違って入るが・・・。
店員も男性女性がおり、接客態度も良い。
ほとんど地球と変わりない。
取り扱っている服も様々で、Tシャツやズボン、ワンピースやスカート。
変わり種もあるようで、どうやって着るのかわからないものも置いてある。
さすがファンタジー。
ここは装備品も置いてあるようだ。
アラド商店にもあったのだが、装備品とは、体の各部位にひとつだけ装着でき、体力上昇や魔力上昇などが得られる物だ。
・・・せっかくだし1つ買っていくか。
そうこうしている内に、ハクは自分の服選びを終えたらしい。
時間はそんなにかかっていない。
女性の買い物は長いと聞いたことがあるのだが・・・。
「おまたせしましたご主人様。」
「いや、待ってないよ。思ったより早かったね。」
「ご主人様を待たせるわけには行かなかったので、店員さんが勧めてくださる服を片っ端から選んできました。」
「お、おう。別に時間かかっても良かったんだよ?別に俺は気にしないから。」
「いえいえ、ご主人様をおまたせするのは奴隷の恥です!!」
とハクさん熱弁。
頬を染めて両手を胸の前で握って訴えてくる姿はとてもキュートです。
「そうかいそうかい、ありがとうハク、俺のことを考えてくれて。」
そういって頭に手を乗っけてなでる。
・・・初めてやったのだが、思ったとおりハクの白い髪の毛はとても柔らかく、いつまでも触っていたい気分にさせてくれる。
うん、やばい癖になりそう。
「はぅ!?はぅぅ〜ん」
最初のうちはびっくりしてたみたいだけど、だんだんと顔が赤くなり、目を閉じて気持ち良さそうな声を出してくれた。
うん、何かあればハクの頭をなでよう。
「それじゃあハクの服を買おうか。今日着て買えるやつをひとつ選んで来なさい。」
「は、はい!!」
ハクが選んできたのは水色のワンピースだった。
装飾は華美ではなく、控えめであるのだが、そこがまたハクの魅力をより引き立てている。
お嬢様の私服、まさにそんな感じだ。
「ハク、よく似合ってる。可愛いよ。」
素直な感想を述べる。
「は、はい。ありがとうございます///」
どうやらハクちゃんは照れ屋のようだ。
そうやって服やら何やらを買い漁って行った。
ちなみに、俺の服は全部黒。
店員にすべて任せたのだが、どうやら俺の噂はここまで来ているようで・・・。
あれよあれよという間に、黒一色で揃えられてしまった。
まぁ、自分で選んでも黒一色だったろうが。
宿に戻る頃には、もう日が暮れ始めていた。
「ただいま。」
「おっ帰り〜、もうそろそろで夕食だよ〜。」
ヘレナが迎えてくれた。
「ヘレナ、今日チェックインしてすぐで悪いんだが、二人居部屋に変えてもらってもいいか?」
「ん?あ、ははぁ〜ん、カイトくんも男の子ですねぇ〜。後ろの娘奴隷でしょ?」
「あぁ、そういうこと。ハク、挨拶。」
「はじめまして、今日からご主人様にお仕えすることになりました、ハクと申します。今後共よろしくお願いします。」
「ハクちゃんね、よろしく。二人部屋は空いてるよ。宿代は前と話したとおりだよ。」
「あいよ、大銅貨3枚と銅貨5枚。」
ちなみに、服の値段は2人合わせて金貨5枚だった。
・・・高いのか安いのかよくわからん。
ハク曰く、とてつもなく高いらしいので、きっと高いのだろう。
「確かに、部屋は3階の一番端っこだよ。ごゆっくり〜。」
ヘレナは食堂の方へ消えていった。
「とりあえず部屋にいくか。」
ハクを連れて部屋へ向かった。
部屋は質素な作りで、テーブルと椅子、ダブルベット、クローゼットがあるだけ。
だが、清潔に保たれており埃1つない。
「とりあえず、明日はハクの武器やら防具を買って、実力を見せてもらおうかな?」
「は、はい!ご主人様のお役に立てるよう頑張ります!」
ハクは元気よく返事をしてくれた。
「元気があってよろしい。さて、ここでハクにいいものをあげよう。」
俺はアイテムボックスから小包を取り出した。
「いいもの、ですか?」
小首をかしげるハク。
うん、めちゃくちゃ可愛い。
「そう、いいもの。」
そう言って小包を渡す。
「ハク、開けてごらん。」
ハクは丁寧に包みを開いていく。
すると、中から水色の宝石がついた指輪が顔を覗かせた。
「っ!?ご主人様、これは!?」
「それは”念意の指輪”って言ってね、遠く離れていても会話が出来る装備品なんだ。今日はハクとあった記念日だからね。奮発したよ。」
実はこれ結構高くて、2つセットで金貨5枚だった。
服と同じってこれいかに?
「こ、こんな高価なもの受け取れません!!」
「え、せっかくハクの喜ぶ顔が見れると思って買ってきたんだけど・・・いらなかった?」
ちょっと、いやかなりショックだ。
やっぱりもっと綺麗なもののほうが良かったのだろうか?
「い、いえ。頂きます。ご主人様からの贈り物、一生大切にしますから。どうか今にも泣きそうな顔をしないでください!」
俺泣きそうな顔だったのかな?
まぁいいや。
「ありがとうハク。これからもよろしくね。」
ハクの頭をなでる。
「はい!こちらこそよろしくお願いします///」
そうして、俺とハクは親睦を深めていった。
Sideハク
私は今日奴隷として買われました。
私を買われたご主人様はとっても不思議な人です。
髪の色や瞳、服装が真っ黒なのはそうなのですが・・・。
一番不思議なのは私にとても優しいことです。
いや、優しすぎることです。
このヒュマノス王国の奴隷制度は、
1,奴隷を所有するものは、奴隷の衣食住を最低限確保しなければならない。
2,奴隷を故意に殺害、または”ヒュマノス王国法”に反する扱いをした場合処罰の対象になる。
・・・・・・
などの法律があるのですが、実際有ってないようなものなのです。
所詮バレなきゃ何やってもいいってことです。
ですので、奴隷を平気で殺害する主人もいるとアラドさんが話してくれました。
アラドさんは奴隷商なのですがとても優しい方です。
そしてそのアラドさんが連れてきたのがご主人様でした。
最初に会った時には、私をじっと見てちょっぴり怖かったのですが、アラドさんが獣人を見るのは初めてですか、と質問するとハイと答えたので、私が珍しかったようです。
そしてその方がお帰りになったあとしばらくして、私だけが呼ばれました。
どうやら私は買われたようです。
「ハクです。ご主人様、どうぞよろしくお願いします。」
最初の挨拶が肝心とアラドさんに教えてもらいましたので、なるべく失礼の内容に挨拶します。
「ご丁寧にどうも、俺はカイト、冒険者だ。狩りにも行くとは思うがついてこれるか?」
「はい、問題ありません。戦力にはなるかと思います。」
私はどうやら戦闘で使われるようです。
身代わりかな・・・。
「それではカイト殿、奴隷契約を行いますので、血をもらえますかな?」
そう言うとご主人様はナイフを取り出します。
そのナイフは白一色で、とてつもない魔力を感じました。
どうやらご主人様はとてつもなくお強いのだと私は思いました。
そしてご主人様の血を私の奴隷刻印に垂らします。
すると黒かった刻印は青色に変わります。
ちなみに奴隷刻印は、奴隷の種類を判断するのに使います。
・黒い奴隷刻印は主人なし
・青い奴隷刻印は普通奴隷(犯罪などで捕まって奴隷になったのではなく、税を収められないなどで奴隷になったもの)
・赤い奴隷刻印は犯罪奴隷
という風になっています。
「これで契約は終了です。」
アラドさんが言いました。
するとご主人様は何もない空間から金貨を取り出しました。
どうやらアイテムボックス持ちのようです。
「これからよろしくなハク。」
そうご主人様が話しかけてきます。
「はい、よろしくお願いします。ご主人様。」
というと、ご主人様は服を買いに行くと言いました。
しかし、私にはもう服があるのですが・・・?
「いや、それだけだったら寂しいだろう。俺も服が欲しかった所だ、一緒に買おう。」
そうご主人様が言いますが・・・。
どういたしましょう?
「ハクの可愛い格好を俺に見せてくれ。これじゃあ理由にならないか?」
か、可愛い///
今ご主人様は私のことを可愛いと言いましたか!?
な、なんてことでしょう。
「は、はい、それでしたら。」
なんて言っちゃいましたよ〜///
お店の中でもご主人様は
「さてハク。とりあえずは普段着を3〜4着と貴族が着るようなドレス、下着を3〜4枚買っておいで。」
なんて言うんです。
私は、
「そんなにですか!?・・・あぁご主人様用ですね。でもドレス?」
そう思ったんです。
そしたら、これは自分のものではなく私のものを買うと言い出したんです。
しかもドレスなんかも。
貴族に呼ばれるとかなんとかで・・・。
ご主人様って本当に名のある冒険者なのではないでしょうか?
「は、はい。でもよろしいのですか?奴隷に、貴族が着るような新品の仕立てた服をあてがうのは、あまりにも待遇が良すぎると思うのですが・・・。」
流石にこんなに待遇がいいと逆に不安になってしまいます。
するとご主人様は
「大丈夫だ、問題ない。もうハクは俺の家族だし、お金にも困ってないし・・・まぁ、今日はハクに出会った日でもあるからな、俺からのプレゼントってことで納得してくれ。」
家族・・・。
家族かぁ。
・・・みんな元気かな。
っと、今は悲しみにくれる時ではありませんね。
「とりあえず選んでまいります。」
私はご主人様をお待たせさせないよう、店員さんに全てお任せいたしました。
それを持ってすぐにご主人様のもとに戻ります。
ご主人様はもっと時間をかけて選んできても良いと言ってくれましたが、奴隷のために主人を待たせるなとアラドさんに教えてもらいましたので、そのことをご主人様に必死に伝えます。
すると、
「そうかいそうかい、ありがとうハク、俺のことを考えてくれて。」
そう言って私の頭をなでてくれました。
「はぅ!?はぅぅ〜ん」
びっくりして、変な声が出ちゃいましたけど・・・///
・・・とっても気持ちよかったす。
そして今日来て帰るものを選んでくるように言われました。
私は水色のワンピースを選びました。
実はこれだけは自分で選んだんです。
そしてご主人様は
「ハク、よく似合ってる。可愛いよ。」
って言ってくれましたぁ///
私は嬉しさのあまりに
「は、はい。ありがとうございます///」
大きな声で言っちゃいました。
ご主人様が泊まっている宿に行くようです。
そこでは看板娘さんなのでしょうか。
一人の女の子がご主人様に話しかけていました。
「あぁ、そういうこと。ハク、挨拶。」
「はじめまして、今日からご主人様にお仕えすることになりました、ハクと申します。今後共よろしくお願いします。」
とりあえずは挨拶ですね。
これから私もお世話になりますし。
「確かに、部屋は3階の一番端っこだよ。ごゆっくり〜。」
「とりあえず部屋にいくか。」
そう言って、ご主人様と一緒に部屋に行きます。
今後共よろしくとご主人様が話しかけてくれましたので、私は元気よく返事をしました。
するとご主人様は、
「元気があってよろしい。さて、ここでハクにいいものをあげよう。」
そう言って小包を私に渡してきました。
・・・何でしょう?
「ハク、開けてごらん。」
そういわれたので、私は小包を開けました。
するとその中には宝石のついた指輪が入っていたのです!
「っ!?ご主人様、これは!?」
「それは”念意の指輪”って言ってね、遠く離れていても会話が出来る装備品なんだ。今日はハクとあった記念日だからね。奮発したよ。」
なんてことでしょう。
ご主人様は私のために買ってくれたようです。
で、でも・・・。
「こ、こんな高価なもの受け取れません!!」
「え、せっかくハクの喜ぶ顔が見れると思って買ってきたんだけど・・・いらなかった?」
ご主人様はこの世の終わりを見たかのような、今にも泣き出しそうな顔になってしまいました。
そ、そんな顔をするなんて反則です!!
結局私はその指輪を受け取ってしまいました・・・。
「ありがとうハク。これからもよろしくね。」
また私の頭をなでます。
・・・はぁ、とっても気持ちいいです。
「はい!こちらこそよろしくお願いします///」
私はご主人様に買われて、とっても幸せです。
できればこのまま死ぬまでご主人様の側に居たい。
・・・これは叶わぬ夢でしょうか?




