14 黒神の少年は野営にて魔法の研究をする
Sideカイト
なんとも目覚めの悪い夢を見た。
ここで地球での生活を思い出すとな・・・。
人を殺したことで何かしらの精神異常をきたしたのかもしれない。
あのあと俺達は少し離れた場所に野営することにした。
野営はここまで来るのに数回は体験したが、この日の野営はとてもつかれた。
精神的な疲れもあったのだろう、俺は見張りの番がくるまでうなされていたようだ。
「大丈夫か?顔色が優れないようだが。」
俺を起こしに来たカレルが尋ねて来る。
「あぁ、大丈夫だ。初めての人殺しは衝撃が強かったんだろうな。」
隠していてもしょうがないので、正直にカレルに話す。
するとカレルはすこし驚いた顔になり、
「カイト殿ははじめての人殺しであったか?とてもそのような感じではなかったのだが・・・。」
そりゃあハクに心配かけないようにしてましたからね、カレルごときに見破られるようなポーカーフェイスはできんよ。
・・・すまん、カレルを蔑んでいるわけではないのだ。
「ん?なにか失礼なことを考えてはいなかったか?」
何?
こやつ感が鋭いのか?
さすが野生児。
・・・もうやめようか。
「いや、なんも考えてねぇよ。」
俺は顔色1つ変えずに答える。
「う〜む、そうか。ならばいい。」
いいんだ!?
「それでは見張り番を変わってくれ。正直眠たくて敵わん。」
「わかったよ、それじゃあ寝とけ。」
俺はテントのすぐ側にある焚き火まで歩いていった。
まだまだ寒いこの季節、焚き火もあってないようなものだが、人間は光があると安心するらしい。
それに光があると魔物もあまり襲ってこない。
だが例外はあるもので、こうやって魔物が来ないように見張りをしている。
「はぁ〜、寒いな。」
俺は持ってきた毛布に包まり、気配察知と魔力察知を発動する。
こうなると暇になるんだよなぁ・・・。
「魔法の開発でもしようかな?」
そう思ったら吉日だ。
俺は悪夢を振り払うために真剣に魔法開発に専念した。
ここで、魔法について俺の知識を整理してみよう。
魔法というのは、
Ⅰ体内にある魔力を使用して、現実の事物を改変する力。
Ⅱただし、レベルに応じて一度に改変できる限界がある。
Ⅲ人によって使用できる魔法の属性は先天的に決まっており、いくら努力しても他の属性は体得できない。
Ⅳどうやら俺は特殊らしく、魔法を合成すること、また新たに新しい属性を作ることが可能。
というのが今わかっている。
また魔力については、
Ⅰ魔力はあらゆる物質に存在している。いわゆる元素のようなもの。
Ⅱ魔力は万物に変換できる。ただしそれが出来るのは神ぐらい(俺は一応神様らしいので使用可)
Ⅲ魔力は体内に貯蓄できる量は決まっている。回復には睡眠が一番いい。
というのが一番妥当な考えだ。
「・・・今更ながら俺は魔法チートだよな。」
全ての魔法が使え、なおかつ魔力量は∞。
これをチートと言わずになんというのだろうか?
「とりあえず、今課題なのは敵を無力化する手段が少ないからな、流石にアースバインドだけじゃなぁ・・・―――」
そうして夜はふけていった。