07 黒髪の少年は黒神になる
Sideカイト
サプライズのあとは仲良く夕食を取り、早めに就寝した。
・・・まぁ夕食時に一緒に座って食事を取ることにハクは大層感動していたが。
もちろん手は出していない。
まずは二人の中をもっと縮めなければ・・・。
きっとこんなんだら彼女が出来ないのだろうが、俺の意思は固い。
と考えながら就寝。
翌朝
「んぁ〜。おはようございますご主人様。」
「あぁ、おはよう。」
同じベットで寝ていたハクが、あくびをしながら挨拶をしてくれる。
腕枕をしていたので、ちょうど上目遣いで言ってくれるので心地良い。
少しの間頭を撫でながら今日の予定を確認する。
朝はハクの装備を整えて、昼くらいまでハクの動きを見る。
夕食を食べたらギルドへ行き、お金をもらってくる。
・・・ついでに領主のことでお仕置きをしてこよう。
「ハク、まずは武器とかを買いに行こう。」
「はいご主人様!」
なれてきたのだろう。
随分と笑顔が増えてきた。
嬉しい限りだ。
朝食を採り、武器屋へゆく。
そういえばハクのステータス見てないや・・・。
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名前:ハク(奴隷)
種族:獣人(白狐)
職業:狩人
Lv,7
HP:120/120
MP:10/10
STR:20
DEF:20
SPD:30
INT:10
スキル
身体強化【Lv,2】 弓術【Lv,2】 狐火【Lv,EX】
称号:先祖返り 森に住みしもの 弓に愛されしもの 黒神の加護を受けしもの
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・・・?
・・・まずはステータスの値から見ていこう。
ステータスは俺のものとはかけ離れている。
まず俺がレベル7の時はこんなに低くはなかった。
一般的なステータスの上がり方はこんなもんなのだろう。
・・・さて、問題はこれだ。
”黒神の加護を受けしもの”
なにかとてつもなく嫌な予感がする。
『ヤッホ〜、元気〜?』
あぁ、頭の中に聞きたくない奴の声が流れてきた。
『むぅ〜。聞きたくない奴って何?失礼なこと言わないでよ。』
『悪いなショタ神。で?説明してくれるんだろうな?』
念話のたぐいなのだろう。
『えっとね〜。まず君は僕達と同じ力を持っているからね。晴れて信者を得たので神様になりました〜。パフパフ。』
『・・・なるほど、信者を得たから神様に・・・って!?納得できるか!?』
『アハハハッ。やっぱりカイト君と話す時が一番楽しいや。まぁ、その話は置いといて、今君は僕達と同じ力を扱えるようになり、信者も得た。とどのつまり僕達と同じ在り方になったから、僕達と同じ存在になったってことだね。』
『つまり、二足歩行になり、言葉を使い、道具を生み出した猿は、猿ではなく人と認識されるのと同じか?』
『まぁ、だいたいそんな感じ。ちなみにステータスとかもすべて測定不能になってると思うよ。』
『なっ!?・・・ちなみにどのくらいから測定不能になるんだ?』
『カイト君に上げたステータス操作は特殊なやつでね、ノルダムの中にあるやつでもトップクラスの測定量を保持してるんだけど・・・上限は無量大数だね。』
『つまり俺は、今はため息だけで世界を吹き飛ばすことが出来ると?』
『いやいや、そんなもんじゃないよ。そこに存在しているだけで、すべての生物は君にひれ伏すよ。』
・・・マジですか?
ステータス1,000超えでも一割出さずに人間吹き飛ばせるんだぜ?
しかもある程度実力出せばドラゴンかれるし・・・。
今の俺ここの神達を狩り尽くせるんじゃないか?
『そんなことしたら君は全次元にいる神を敵に回すことになるよ?』
『それは怖い、やめておこう。』
『そうした方がいいよ。ちなみに地球の神はみんなに嫌われてるから、ぷちっとやっちゃっていいよ。』
地球の神は嫌われものらしい。
しかもショタ神は神殺しが出来ると暗に肯定している。
・・・俺に何しろと?
『君が楽しく過ごせばそれで良いんじゃない?まぁそれだけだから。じゃね〜』
どうやら説明するだけで念話を切ったようだ。
「はぁ〜。とりあえず武器屋に行こう。」
「ん?はい!行きましょう!」
ちょっと不思議そうにこちらを見たが、すぐに笑顔になり返事をしてくれる。
やはりハクは俺の天使だ。
・・・信者なのだが。
ということで武器屋についた。
正直自分で作ったほうが遥かに性能が良いのだが、あまり性能が良すぎるのを最初っから使ってしまうと、周りから狙われることがある。
まぁ俺は初日の件で絡まれることはないだろう。
「ハクは何を使うの?」
ハクは弓術を持っているので、弓を使うのだろうが、一応聞いてみる。
「そうですね〜。弓を1つと短剣を1ついただけると嬉しいです。」
「わかった、選んでおいで。」
「はい!」
ハクに選ばせたほうが良いだろう。
自分で使うのだから、自分で選びたいはずだ。
俺は自分で使うものは自分で作るので、特に武具には興味がない。
使うのは刀だしな。
ここらへんでは取り扱ってないだろう。
しばらくしてハクが戻ってきた。
選んだのは木の弓と鉄の短剣。
どちらも平均的な冒険者が使うものらしい。
それらを買い、次はギルドだ。
防具は俺が作る。
最高峰のものをだ。
・・・だってハクに傷ついてほしくないし!
ってことで今回は保留。
昼前なのでそんなにギルドの中には人が居ない。
「おはようミレイ。」
「おはようカイト。あら、そっちの娘は?」
「昨日からご主人様の奴隷になりましたハクです。よろしくお願いします。」
「そうなの、こっちこそよろしくね。それでカイト、今日はどうしたの?約束の時間まではだいぶあるわよ?」
「あぁ、その前に簡単な依頼でもやってみようかなと、なにせ依頼なんて一回も受けたことないし。」
「そ、そうだったわね。で?何をやるの?」
「俺に出来そうなやつを1つ選んでくれ。」
「わかったわ、えぇ〜と・・・。これなんてどうかしら?」
ミレイが持ってきたのは”ゴブリンキング”の討伐依頼だった。
「ご、ご主人様?今聞き間違いでなかったら・・・っそ、その、ゴブリンキングと・・・。」
「ん?そうだけど・・・、なにかまずい?」
「あ、あのSランクの魔物なのですが・・・。」
「あれ?カイト。ハクちゃんにギルドランク言ってないの?」
そういえば色々買い物とかで、自分のことについて何も教えてなかったな。
「うん、なんだかんだでバタバタしてさ。はいギルドカード」
そう言って俺はハクにギルドカードを見せる。
「は、拝見します・・・・・・・・・」
「は、ハク?どうした?」
ハクがフリーズした。
瞬きすらしてない。
「えっ、えっSランクってなんですかぁぁぁぁ!!」
「えぇ〜っと。」
そこで俺は、このナギルに来た理由とハクを買う前の出来事を話した。
「は、はぁ〜。ご主人様は何なんですか?」
「う~ん、自分でもよくわかってないww」
「はははは、はぁ〜。ご主人様には驚かされてばかりです。」
ハクちゃん呆れちゃってますねぇ。
「それで?受けるの?」
「あぁ、受けるよ。」
依頼内容はゴブリンキングの討伐。
ゴブリンの巣を殲滅したら追加報酬が出るそうだ。
場所は魔の森の近くにある草原だ。
ここから馬車で1週間くらいらしい。
「それじゃあいってくるよ。」
神様になってからの初陣だ。
気合入れてくか。
「カイトなら大丈夫だと思うけど気をつけてね。」
「ミレイみたいな美人に心配されたら無事に帰ってくるしかないな。」
「///ば、馬鹿言ってないでさっさと行って来なさい!」
お、美人さんの恥じらいを見られるとはなかなか。
いっちょ頑張ってきますか。
「あ、ハクの冒険者登録忘れてた。」
「大丈夫よこっちでやっておいたから。」
どうやらミレイと会話している間に、ハクは別の受付で済ませたみたいだ。
「パーティ組むんだったら名前を教えてちょうだい。」
パーティ名は”黒神の戯れ”にした。
まぁなんとなく?
「それじゃあ気を取り直して行きますか。」
「はい!ご主人様お伴します!」
俺達は街の門へと足を運んでいった。