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第二話:「『キレイ』になりたい」

続きです。数話先のアイデアを練りまくってので遅れました。読んで下さってる人もたくさんいみたいで、嬉しいです。引き続きご愛読なさってくれれば光栄です。

・・・・・・この頃だった。

・・・・・・この頃だった。

「汚れている」と感じ始めたのはこの頃だった。

賢いオレには暴力を振るった。

「バカな」下流層はボロクソにけなした。

政治家みたいなおっさんに金を渡して何か頼んでいた。

金と栄誉を何よりも死守した。

そんな両親にうんざりしたオレは

とうとうある決心をすることとなる。


-------------------------------------------------------------------------------------


発端は夏休み前のある日。オレは自分の部屋で帰ってきた期末試験のやり直しをやっていた。すると父親が入ってきて、

「またゲームしとるんか」

そのことばにカチンときたオレは、

「勉強だよ、試験のやり直し!見ればわかるだろ!」

と反駁した。しかし、こう父親は言い捨てたのだ。

「よう言う。あんなクソみたいな成績とってよういうわ。」

・・・・何も言い返せなかった。悪かったのは事実だ。全教科が平均点を上回っていなければいけないのだが、オレはそれができなかった。無論、殴られた。

「ええか、全部平均とれんなら0点も同然なんや。全教科合計0点!下流層はそんなんでも満足する器の浅いクズどもや。少なくともそんなんに負けるような男はこの日光家にはいらんからな。このハクチ息子が。」

「ハクチ・・・・ッッ・・・・」

その差別用語にまたしてもカチンとくる。そして決定打の一言。

「こんなに貶されたり殴られんのは、誠、おまえ自身のせいや。一人で何とかしろや。自己責任や。やないと下流層に堕ちるで。」

と、言った後、父親はダァホ、と吐きながら、まるで恨みをこめたようにきつくドアを閉めた。


「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

一時間くらいは沈黙していた。というより全く動かずにあることを考えていた。

「『日光家にはいらん』か・・・・・・」

そういえば今まで、血を分けた親とは思えないほど数々の暴力を受けた。父も母もオレの学力と名誉と金くらいしか関心はない。決してオレ自身に関心があるわけではない。その証拠に、いつか風邪をひいたときも、

「はよ勉強せんか」

と言っていた。

テストで一番や好成績をとっても、

「そうか」

で終わる。

オレはもう必要とされていない。

出て行くべきなのか。

・・・・・・・いや

考えてみれば、オレは必要とされていない、というわけでもない。

そもそもオレはこの家、家庭を「汚れている」と感じていた。

「汚れている」

そうだ。「汚れている」んだ。

オレはこの「汚れている」家に住んで、汚れた親に勉強を強要され、そのうち、

「居場所がなくなってしまったんだ」

いやもしかしたら

「存在が虚無に限りなく近くなった」

そしてそんな全てが汚れている環境に甘んじた自分もまた、「汚れている」。

じゃあ・・・・・・どうすればいいのだろうか。

そんなことを思いふけながら、もう夜中になっていた。

いや、もうどうしようもない。オレは本棚から、マンガを一冊とった。もちろん親が収集を許すはずないのでこっそり隠してあるのだ。

うつろな眼でパラパラめくっていると、うっかりそれを落としてしまった。

ダン!バサッッ・・・・

一瞬びっくりしたが、すぐに手に取り、もう寝ようと思い、元にしまおうとした。その時・・・思い出した。

あのセリフ・・・

『こんなに貶されたり殴られんのは、誠、おまえ自身のせいや。一人で何とかしろや。自己責任や。やないと下流層に堕ちるで。』

・・・・・なるほど。

・・・・・なるほど。

オレのせいじゃないか。

オレ自身のせいじゃないか。

さっきも思っていたが、甘んじていたオレも「汚れている」。

「汚れている」から抜け出したい・・・・

「キレイ」になりたい。

オレ自身が・・・自分の力で・・・

「キレイ」になれば・・・・


そして、次の日の夜。

オレは「キレイ」を探しに行くことにした。








まだ連載は続きますんで。是非お楽しみ頂けたらと。

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