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いつまでも君と~キミと奏でる幸せハーモニー~

作者: かな

―――――




チュン、チュン。



小鳥のさえずりが朝を知らせる。



ゆっくりと体を起こし、窓へ向かう。



シャッ


右手でカーテンを開けると、空は雲一つない青空で窓を埋め尽くしている。



もちろん、太陽も眩しいばかりに照らされているから思わず目を細めた。




「ん……っ」



ベッドの方を振り返ると、そこには愛しい彼の姿。



長身で手足だって長いのに体を縮めて寝ている。



その、アンバランスな格好がなんとも可愛らしい。



彼も眩しかったのか目を細め、顔を大きくて骨がゴツゴツしている手で覆っていた。




私はいつも彼より先に起きる。

というか……起きてしまう。



こっそり、その綺麗で整っている無防備な寝顔を見たいから。



ギシ……。



左足に体重をかけ、彼の寝顔をチェック。



ほんっとに無防備に寝ちゃって、もう。


スヤスヤと大人っぽい顔をしているのに子供みたいな寝顔。



──こんな顔を見れるのは私だけ。

まぁ、彼女の特権ってやつを少しばかり乱用。


私は、サラっと長い少し茶色がかった髪を右耳にかけて、




「サク、もう朝」



短く彼に朝を告げる。



「……はよ、ナナミ」



サクも短く私に返す。



これがいつもの朝。



サクを起こすまで、ものの15分足らず。

だけど私には貴重な時間。

何故かサクの寝顔を見ると安心できるし、『隣に居てくれる』って改めて思えるから。



「今何時?」


「6時30分」



枕元に置いてある時計を見て私は言った。



まぁいつも通りの会話。

そして極め付けの、



「あと10分だけ寝かせろ」


「起こすのに時間掛かるからい、や!」



1回目は目覚めがいいくせに、2回目以降は寝起きが悪い。



もう何年も一緒に住んでるんだからお見通し。



「いいじゃねぇか、そんなに起こすのが面倒ならなぁ……」


「ちょ、サク」



強引に血管が浮き出ている腕に引き寄せられて、あっという間にサクの腕のなか。



やばい。

カッコいい腕に見とれてしまった。



……迂闊だった。



私を離さないようにがっちりと抱き締められている。


「ナナミも一緒に寝ればいい」



最上級の色っぽい声

耳にかかるサクの吐息。



ピクンと反応してしまう。


そんな事は気にしてないのか、またサクの寝息が聞える。



それから心臓の音が。



──10分後



くるっとはがいじめにされながらも体を反転させた。


少し上を向くと、サクの顔がドアップで見れる。



「いい加減起きて」


「……」


「聞いてますかー?」


「……」




はぁ……、やっぱ起きないし。



スウ……。



肺に一杯空気を入れた。




「起きろって言ってんだろぉが!! バカサクっ」



「……、もうこんな時間が」



スッキリした顔で、颯爽と足速に洗面所へ向かっている。



あの、部屋中に響くくらいに耳元で叫んだんだけど。というか自分の声の大きさにびっくりしたのに。




なんで何も言わないんだ、あの男は!



しかもいつものキリっとした顔にチェンジしてるし。



「ナナミもいつまでも寝てないで早く起きろよな」



ヒョコっと洗面台からシェービング片手にサクがそう言った。



「……覚えがないってことね」



1回目に起こしたことは忘れてるのか、あの男。



まぁいつものことか。



怒りを通り越して諦めに変わるのも長く住んでるが故なのかもしれない。



体を起こして、サクが居る洗面台へと私も向かった。


洗面台へ着くと、髭を剃り終えたのか、次は歯磨きをしようとしていた。



「早く来いよなぁー。歯、磨けねぇだろ」


「はいはい、すいませんね」



歯ブラシを手にして、歯みがき粉を上に乗せながら私は言った。



2人で住み始めた時に決めたこと。


“2人揃って歯を磨く”



どんなに急いでても。



シャカシャカ。



リズミカルに2人の歯ブラシの音がする。




なんだか、



「幸せ、だな。こういうのって」




意外にもサクがそう言った。



毎朝歯を一緒に磨くこと6年。初めてそんな事を口にしたサク。



「へー、サクにもそういうの感じるんだ」



マイペースで早起きが大の苦手。

それに加え、無神経。



そんなサクが私と同じ事を思うなんて……。



「ナナミとだから思えんだよ」



ドキン。


ああ、そうだ。

サクは私をドキドキさせるのも名人なんだ。



「こういう小さな幸せっていうの? そういう幸せ、これから先ナナミと味わっていきたい」 



蛇口をひねり、磨き終えたサクが真面目にそういった。



「そうね、サクとだったらいいかもね」


「素直じゃねぇなー、ナナミは」



立ち去ろうとするサクの腕を掴んで。



「間違えた」


「は?」


「サクが隣に居てくれれば私はそれだけでもう幸せ。本当に、傍に居てくれるだけで……安心するから」



素直に言ったら、やっぱりサクは。



「素直になりすぎだ、アホ」



真っ赤に顔を染めた。




これからも、隣で。


いつまでも君と。



2人で幸せな音色を奏で続けていこうね?




END☆





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