1−6 カラフル
翌日、キラキラとした朝日が部屋に差し込む中、私は彼の腕の中で目を覚ました。私の部屋って、こんなにも輝いていたっけ?埃が、まるで天からの贈り物のように輝いている。私は、また彼の腕の中で鼓動を聞いていた、
今日は2人でかっぱ祭りに行く日だ。
普段は閑散としている表通りは、今日はムッとするような人混みと熱気に溢れていた。たくさんの露店が出ていて、彼が子供のように「あれなんですか?」「これおいしそう」とはしゃいでいる。そんな姿も可愛く思える。弟とかってこんな感じ?いや弟とはあんなことしないか。
私はかき氷を買って、彼と半分こにして食べた。
露店のオジサンがストローを二つつけてくれたから、一つのカップにふたりでストローを入れる。暑いのに、彼と顔がくっつきそうになって食べるかき氷。
こんな漫画みたいなこと、私がするなんてね。
でも、嬉しい。
そのうち、ノリの良い音楽が流れてきて、パレードがスタートした。
かっぱ祭りの目玉は、かっぱの扮装、と言ってもかっぱのお皿の被り物をした参加者が、音楽に合わせて踊りながら街を練り歩くものだった。
彼が子供のように、声をあげてはしゃいでいた。
「なんですか、あれ?!」
「面白い!頭が禿げてる!」
「かっぱかっぱかっぱ!」
彼がはしゃぎすぎるから、私は恥ずかしくなって彼の服を引っ張っていた。
もう、恥ずかしい。
けど、彼がはしゃいでいると私も楽しくなってきちゃう。
「美里さん、僕たちも踊りましょう!」
「え?やだ、恥ずかしいよ」
彼が強引に私の手をひっぱって、パレードの最後尾についた。踊りもめちゃくちゃだし、みんなに見られて恥ずかしい。
でも彼、楽しそう。
それを見ていた私も楽しくなってきちゃう。誰かが、かっぱの被り物を渡してくれた。
二人で、それを被りながら、笑いながらパレードをした。
彼と、こうしてずっと笑って過ごしたい。
パレードが一通り終わって、私と彼は道端に座り込んだ。炎天下で、かっぱの被り物をして歩くのは相当きつい。係の人が配るスポーツドリンクを飲んだ後、コンビニで買ったビールで乾杯した。
「こんなに笑ったの久しぶり!」
「楽しかったですね。まさか日本でかっぱになれるとは思いませんでした」
「憶俊、踊りめちゃくちゃなんだもん。みんな笑ってたよ」
「日本にこんな諺ありますよね。踊る阿呆に見る阿呆」
「同じ阿呆なら踊らにゃソンソン!」
私と彼は、声を揃えて言って、また大笑いした。
「ねえ、今夜どうするの?私は明日仕事で朝早く出るけど」
「美里さんがよければ、明日美里さんの家から仕事に行きたいです」
「今夜も一緒に?嬉しい!」
私は人目も気にせず、彼に抱きついた。今夜また…でも明日仕事だから早く寝なきゃ…でも…。
私は夜のことを考えて、お腹の下の方がキュンとしていた。急に恥ずかしくなって、思わずビールを流し込む。
この数ヶ月、彼と出会ってから、ずっと男性と同じような感覚で油と泥にまみれた私の生活が、カラフルな色彩に塗り替えられていくようだった。
(憶俊、幸せ……)




