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81(エイティーワン)  作者: 雨後乃筍
1章 甘い毒
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1−5 逢瀬

 暗い部屋の中に私の嬌声が溢れている。どうしよう。私おかしくなっちゃったのかな…

 私の甘い声にイージュンが答えるように、時に激しく、時に優しく私を愛してくれた。イージュンに触れられるたびに、快感が私の体を激しく刺激し、イージュンを求めた。


 自分でも信じられない。


 今まで埃と油にまみれて、女らしい色気なんて縁のなかった私の奥底に、こんな甘く溶けるような感情が眠っていたなんて。


 初めての時からそうだった。


 初めての夜、イージュンが「まだ経験がない」って言っていた。私も初めてみたいなものだったけど、年上だしリードしようと考えて「大丈夫、リラックスして」とか言っちゃった。でも、私も心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしていた。


 優しくキスをしてベッドに横になった後、ブラウスのボタンを外すイージュンの手が微かに震えていた。私は自分の手を重ねて、イージュンの仕草と息遣いを一つ一つ追っていった。甘い彼の匂いとシーツの冷たさが直接肌にあたる感触。


 あっという間に立場が逆転していた。私の体は、イージュンに触れられるたびに、激しく反応し全てを委ねていた。


 あの時とは全然違う。


 イージュンに触れられるたびに、電気が走るような感覚が全身を駆け巡り、いままで出したことがないような甘い声が漏れ、手でされるだけで何度も絶頂を迎えていた。まるで私の体を知り尽くしているみたい。


 私はぐったりして、イージュンの体にもたれ掛かりながら、問いかけた。


「初めてなんて、嘘でしょ?」


「本当に初めて、美里さんが」


「嘘」


「美里さんに喜んで欲しくて、勉強したから」


「え?勉強?」


「ビデオとか…」


 視線をシーツに落とし頬を掻く彼を、愛おしくて笑いながら抱きしめていた。


 可愛い。


 成人した男性がこんなにも愛おしいなんて。嘘でもいい、初めてでなくてもいい。今は私のイージュン、私だけのイージュン


 私はイージュンにキスをして、もう一度体を重ねた。相性って言うのかな?そういうの本当にあるんだ。


 今夜も、何度目かの絶頂を迎えた後、私はイージュンの胸に抱かれながら囁いた。


イージュン、愛してる。ずっと一緒にいてくれる?」


美里みさとさん、僕も愛しています。ずっと一緒にいます」


 私はイージュンの胸を指でなぞっていた。ふと違和感が指にあった。


イージュン、これどうしたの?」


 何気なく触れた指先には、大きな傷があった。左肩から左胸にかけて。見た目ではわからないが、触ると引き連れのような跡がある。まるで作り物みたいな…


「これは、昔の怪我」


 なんてことないという風にイージュンが答える。


「こんなに大きな傷、痛かったでしょう」


「今はもう平気」


 こんな大きな傷…何か大怪我でもしたのだろうか…


 そんな思いを抱いたが、私はイージュンに優しく髪を撫でられている内に、満ち足りた気持ちで深い眠りへと落ちて行った。


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