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81(エイティーワン)  作者: 雨後乃筍
2章 見えない脅威
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2−7 訓練

 憶俊イージュンの初体験は、この訓練の中だった。


 軍の訓練は過酷だった。最初の2年間は体力訓練、格闘訓練、射撃訓練、車両の航空機の操縦方法に至るまで、休みなく叩き込まれていた。


 日本国の文化、政治、企業の把握。


 日本人女性の扱い方まで訓練項目に含まれていた。日本の女性が、どのような男性に引かれるのか、どうすれば喜ぶのか。


 訓練の中では、連日異なるタイプの日本人女性が連れてこられた。自分より年下と思しき者もいれば、自分の親世代と思える者もいた。ただ皆、表情の乏しい虚ろな顔をしていた。


 憶俊イージュンに選択肢はなかった。ただひたすらに日々のノルマをこなすこと。訓練仲間はいたが、お互い交流することはできず、名前も知らなかった。


 過酷な4年間の訓練もついに最終段階に入っていった。一番最初に一緒にいた30人近い訓練仲間も、半数以下に減っていた。


 ある時、憶俊イージュンは、例の幼児訓練部屋を覗いてみた。3年前は20人前後いた子供達は、5人以下に減っていた。


 前に声をかけてくれた0078もいつの間にかいなくなっていた。


 これからは、個別訓練に入る。一人一人個別の訓練メニューが用意されていた。


 4ヶ月かけて、日本の地理と原子力発電所のことを叩き込まれた。実在する原子力発電所の構造、働いている人員、構成、警備員のシフト。出入り業者。


 憶俊イージュンへの命令は、出入り業者の女性スタッフを籠絡し、党が開発した特殊ケーブルを原子力発電所の内部ケーブルに仕掛けること。


 党はターゲットの女を徹底的にリサーチしていた。


 好みの所作、家族との思い出、趣味、交友関係、男性関係、女の好きな料理まで。


 女の好みそうな男性のプロファイルに合わせて、記憶、性格、言葉使いを洗脳レベルで叩き込まれた。


 過酷な食事コントロールにより、軍の訓練で鍛え上げられた肉体は削ぎ落とされ、女好みの痩せ型へと作り変えられた。顔もまた、女の理想通り、少年の面影が残るように整形が施された。


 整形と肉体が安定するまで、さらに4か月を要した。


 憶俊イージュンという個人から、0081という兵器として。


 アトラス株式会社に勤務する田中美里たなかみさとに合わせて。


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