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純白魔法 -魔法に拒絶された魔法使い-  作者: ガリガリワン
第十四章 純白魔法使い 魔城島編

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第百二十四話 果ての地

 虹剣1692年1月5日


 年が明けても全面戦争の空気は続いたままだ。

 邪統大陸での戦いでは各大陸の戦士たちの圧勝。


 だが魔王軍もまだ本気ではない。


 魔王側近は七名で構成され、

 序列が決まっている。


 残っている魔王側近は四名。

 憤怒・色欲・怠惰・嫉妬。


 上位三名は魔王軍ができる前から存在していた邪族であり、君級一人では太刀打ちできない強さだ。


 そんな魔王側近でも負ける時は負ける。

 現代の君級戦士たちは間違いなく史上最強。


 全属性使いの魔法使い虹帝。

 単独で魔王側近を倒した剣塵。


 二人を筆頭に十一名の一騎当千が集い、

 巨悪を討つべく正義の旗を掲げ、今立ち上がる。


 邪統大陸に滞在していた大量の戦士たちや、

 邪統大陸に来る途中であった者たちは、皆が情報を聞きすぐさま目的地を魔城島へと変える。


 ーーー


「ついに裁かれるのか?」

「シノよ。随分と己の命を賭けたな」


 執理政、時空のホロフロノスと生命のウィータは、

 そう言って花園の上でシノに話しかける。


「魔王軍に対して多くの種族が団結して討とうとしているわ。でも結局それだけじゃ魔理は負けない。

 天理の欠片を宿すあの子がどう動くかなのよ」


 ホロフロノスは顔をしかめて言う。


「天理が託した未来……あの娘の動き一つで世界が変わるなど笑える。執理政であってここまで無力だとはな……」


 ウィータは天秤を見つめながら話す。


「多くが死に、多くが生まれる時代が長く続いていたけど、こうなっては死が増えるのみ、なぜこうなったんだ。運命はこれを指し続けていたのか?」


 シノはそんなウィータに反応して言葉を返す。


「世界が出来た時から運命は決まっていたわ。

 私たち五人の関係性の末路だって決まっている……

 魔理は新世界を作るのが目的。統治による圧倒的な平等、それを成そうとしているのが魔理。

 私たちはただ、魔理と意見が合わなかっただけ、

 そんな対立が今を作ってるの」


 シノは黄金の球体を空に転がしながら続けて話す。


「結局……運命なんて一つの選択で大きく形を変える存在、どうなるかなんて誰にもわからないんですよ」


 ウィータはうんざりしたように二人に背を向ける。


「私はシノ、お前が羨ましい。

 運命を三度教え、正しく導く力もある。

 お前がいなければ、魔理は自身の願いを叶えていただろう。だからこそ私はお前が羨ましいよ。

 世界のために命を賭けるその勇気が……」


 ウィータはそう言うと、どんどんとその場を離れていく。


「ウィータ……」

「シノよ。俺は魔理が裁かれるべきだと思っている。

 もし天理の欠片が失敗した場合、あとの事は頼む。

 我は天理と仲が良かったわけでもない。だがな、

 平然と新しい目標を掲げ生きる魔理が許せんのだ」


 ホロフロノスもシノに背を向けてしまう。

 顔は見えない。シノは背に向けて言葉をぶつける。


「貴方も憎しみは感じるんですね……いいわよ。

 もしそうなったら託された未来、私が継ぐわ」


 そうして花園にはシノのみが残る。

 黄色の花の上でシノは空を見上げた。


「快晴ね……嫌になるくらい」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 虹剣1692年1月21日。


 北峰大陸、西北部の海岸線にて戦士が集う。

 荒れ果てた防壁たちなどがある中、大量の船が海に浮かんでいる。


 この場に集う戦士は3000を超える。


 そのうち君級戦士は五名。

 剣塵・不視・枯星・幻想・海王


「久しいのうイグレット」

「ユマバナ殿もお久しぶりで」

「さすがに老けたのぉ〜戦えるのかお主〜?」


 茶化すように話すユマバナ、イグレットは笑って答える。


「もう五十一歳なんですよ! 俺は人族オンリーなんで老人の域です」


 集う五名の君級だが、他の君級戦士たちはどこにいるのかと言うと、大体が移動中である。


 この海の先に魔城島がある。

 そこは年中結界が張られており、大量の邪族が住まう地だ。


 しばらくして皆が船に乗り、魔城島へと向けて出航した。


 雪が吹き荒れ、氷が海を流れ続ける中、

 船は微塵も揺らぐ事なく進み続ける。


 この戦いに赴く者たちの覚悟は決まっている。

 いつ死んでもいい。魔王軍という負の存在をこの世から消すためなら、なんだってする。


 ーーー


「魔理様、やはり攻めてきました。

 いかがなさいましょうか」


 紫の結晶の中で背を向ける魔理、憤怒のドラシルはその背に頭を垂れる。


「上陸は許してもいい。だが黒城には侵入させるな。

 まだ私の魔力は回復しきっていない」

「御意……」


 ーーー


 色欲のエルドレは空を飛び、海の向こうから感じられる大量の魔力を見て、少しだけニヤついていた。


 少しの間、魔力を感じていると地上へと着地し、

 エルドレが着地するのを待っていたフェゴに話しかける。


「君級が五人来てるよ。多分剣士が二人、魔力じゃない大きな圧が感じれたからね」

「君級五人くらいならエルドレだけで大丈夫だろー」

「あははっ! さすがに過大評価しすぎ、ドラシルちゃんだって五人相手は死ぬかもしれないんだからさ」


 フェゴはため息をつきながら話す。


「昔もこんな感じだったよなー」


 400年前の全面戦争。

 多くの歴史書が残っており、戦争の激しさはそれにて確認できる。


 久しぶりの全面戦争、魔王側近たちは昔を思い出し苦い思い出を噛み締めていた。

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