エピソード 4
ほんと懐かしいなあ。
そういえば、きな粉の棒は小学生の時から一度も食べた時がない。一体どんな味なんだ? きな粉味の棒なのはわかるんだけどさ。いつも売り切れだったからな。
「うん?」
駄菓子屋に面した商店街の通りに、一人の巫女姿の女性を見掛けた。人通りは疎らだけに、よく目立っていた。そこで、俺は首を傾げる。取り分けて、気になるその巫女装束は、ちっとも場違いではなくて、何故かこの商店街の通りにマッチしていたからだ。
巫女姿の女性は、ふと。こちらを見たような気がしたので、俺はじっと見つめてしまった。巫女姿の女性も俺に気がつき目が合った。
それから、駄菓子屋の店内にいる俺の方へ。
巫女はすたすたと歩いて来た。
「宇宙は広いなあ」
駄菓子屋の店内を見回し、巫女はそう呟くと、はてな顔の俺に軽く手をユラユラと振りながら、ニッコリと笑って、すぐに何食わぬ顔で通りを歩いて行ってしまった。
「??? 何だったんだろ? 今の間は? そっれにしても凄い美人だったなあ。あの巫女……あれ?」
不思議と、巫女を近くでよく見たはずなのに、その容姿が少女なのかそれとも大人の女性なのかまったくわからない。いや、気にしなかった。
「もう、そろそろ帰るか」
ふと、帰り際に壁沿いに並ぶガチャでも引こうかなと思った。100円を入れてレバーを回すと、すぐにガチャ玉が転がり落ちてきた。
ガチャ玉の中身の景品は、小さく折り畳まれた一枚のチケットだった。