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エピソード 2

「うん? じゃ、帰ろっか?」 

「うん……」


 鈴姉と同じ方角へ向きを変える。

 俺たちの家は、ここからつくば駅方面へ歩いて30分程だ。


「今日は七夕ね」

「鈴姉。七夕って、何? なんかの祭り?」

「ふっふん。七夕は祭りじゃなくて、中国語で乞巧節きっこうせつともいわれていたの。天空でいちばん偉い神様の天帝には、織女しょくじょという娘がいたの。織女は神様たちの着物の布を織る仕事をしていて、天の川のほとりで毎日のようにはたを織っていたの。そこで、遊びも全くしない、恋人もいない織女を可哀想に思った天帝が、天の川の対岸で牛を飼っていたまじめな青年の牽牛けんぎゅうを織女に引き合わせた。というのが七夕伝説の始まりね」

「うへえ……その話がなんで一年に一度出会うになったんだろう?」


 鈴姉はやっぱり頭がいい。

 俺より背が少し高くて、黒髪でミディアムヘアーの綺麗な人だ。


「ふふっ、確かにそうよね」 

「うーん……」

「光太郎。気になる? 気になる?」

「……」


 交差点を右に曲がれば、俺の家まで公園沿いの道を一直線だった。

 

「……ギブ……どうしても、気になるんだ……」


 俺は七夕伝説について、鈴姉の話の続きがどうしても気になってしまっていた。


「うん、OK。やがて、二人は結婚して、毎日遊び尽くすようになってしまいましたとさ。当然、織女が機を織らなくなったので、神様の服は擦り切れ放題になってしまったんで、神様もプッツンしやすくなったの。そこに、牽牛が牛の世話をしなくなったので、牛は食べ物もロクに与えられずに痩せ細ってしまった。そこで、天帝は本格的にキレてしまい。二人を天の川の両岸に引き離してしまいましたとさ」

「よっぽど、楽しかったんだろうな。二人の結婚生活……」

「こほん……」

「それで?」

「あ、後はお馴染みの結末よ。二人が毎日泣いてしまい。仕事もしないから、可哀想に思った天帝は、年に一度の7月7日に出会えるようにしたの」

「ふーん。そっか……なんか可哀想だけど、また会えるだけ良いのかな」

「え、そうよね」


 

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