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プロローグ

 同時刻 茨城県つくば市 男体山 山頂


 都内から早朝の電車で急いで来たというのに、空は真っ暗だった。

 青色と紫色に煌めく星雲がゆっくりと流転し、闇にすっぽりと包まれた空を彩っていた。


 まるで、プラネタリウムだ。

 時々、幾つもの色とりどりの流れ星が落ちていった。


 星降埜ホシフリノ神社。

 影の世界の日本で有名すぎる神社だ。

 

「わざわざ、ご足労おかけして申し訳ありませんね」

「いえいえ。こちらに星宗さまがいらっしゃるとお聞きしまして」

「はあ、今は大事な祈祷中でしたが、途中でどこかへ行ってしまいました。一体、どこへ行ったのでしょうかねえ? それにしても、政府のお偉い方がこちらへ足を延ばしになさったのは、これで何度目でしょうかね? 皆、せっかく来てくださったというのに、星宗さまにはお会いできずに無駄足になっておられる」

「ああ。何度もいいます。こちらに星宗さまはいらっしゃるのですね?」 

「ええ。ええ……」


 そういうと、梶野はどこか夏を感じてしまうような匂いのするお香の玄関で、靴を脱いだ。そのまま、茶色が基調の普通の服装をした老婆を無理にどけてから廊下を歩いていく。


 広大な廊下は、紅空木べにうつぎやサルスベリなどの紅い木が、両端に所狭しと飾ってあった。


 神明造しんめいづくりひさしの持たない建物だ。


 そこら辺は神社と作りは変わらない。


 妙なところだ。


 と、梶野は思った。


 ここで、密かに星宗という女が日本の国の未来を左右していた。


 大っぴらには言えないが、正気の沙汰ではない。


 星宗の一言が、例え、神の思し召しの神託であれ、自身からの戯言であれ、国の将来の方針が暗雲たる影の世界で決まっていた。 

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