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第五回なろうラジオ大賞用

文化祭の魔法

作者: 城河 ゆう

 文化祭マジック、と言う言葉を知っているだろうか?


 簡単に言えば、文化祭の準備や、当日の当番で、一緒にいる時間が長かった男女が、文化祭明けにカップルになっている現象の事だ。


 互いに意識し合っていた二人が、キッカケに使う場合もあれば――


 全く興味無かった者同士が、それこそ魔法にかけられたように、惹かれ合ったりもする。



 ……そう。



 今までほぼ話す機会も無かったのに、実行委員に選出された事で、会話が増えたり。


 報告書なんかの作成に苦戦していると、まとめ方のアドバイスをくれたり。


 仲間達が『陰キャのブス』なんて呼んでたけど、ゴツイメガネと前髪で隠されてただけで、実は結構美人だったり。


 そんな、今まで見ようとしてなかった一面を、短期間で色々見たからか……


 いつの間にか、彼女を目で追うようになっていた。


 だから――













 文化祭マジック、と言う言葉をご存じでしょうか?


 簡単に言えば、文化祭の準備や、当日の当番で、一緒にいる時間が長かった男女が、文化祭明けにカップルになっている現象の事らしいのだけど……


 クラスメイト達がヒソヒソと楽しそうに話しているのを、『自分には縁はなさそうだ』と聞き流していた。



 ……それなのに。



 文化祭の実行委員に選出されてしまい、よりによって、明るくて、友達といつも笑い合っているような……クラス内でも、私とは真逆の立ち位置にいるような人と、一緒になってしまった。


 一緒に仕事をする中で、自然と話す機会が増えた。


 細かい事務作業は苦手なようだけど、力仕事や、備品の保管場所等の記憶力で、たくさん助けてくれた。


 仲間達が私の陰口を言ってても、それに参加してないのは知ってた。


 なにより――


 クラスでも浮き気味な私なんかと、普通に接してくれるのが、何となく嬉しくて。


 いつの間にか、彼を目で追うようになっていた。


 だから――









 気づいたら――







(一緒に回ろうって、誘っていた)

(誘われた時に頷きを返していた)








(いつもは、数人のグループで回ってた)

(毎年一人で、隅の方で本を読んでいた)




(女の子と二人きりなんて初めてだった)

(誰かと二人で回るなんて初めてだった)




(緊張して、彼女の顔が見られなかった)

(緊張して、彼の言葉に頷くだけだった)




 自分と回っても、つまらないんじゃないかな……




(そう思って振り返ったら)

(そう思って顔を上げたら)




 不安そうな顔がそこにあって……




 なぜか、二人揃って笑ってしまった。









 文化祭の魔法は、やっぱりあったみたいだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  文化祭マジック素敵ですね。誰しもが学生時代憧れますね。マジックに出会えるのはなかなか難しいかもしれませんが。 [気になる点]  特にございません。 [一言]  拝読させていただきありがと…
[良い点] 短いのに、すごくアオハルでした!
[良い点] くっはぁ! これはキュン死する! リア充共め! 末永く爆発しろっ! ξξ*'ヮ')ξξノΞ★★★★★
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